HageOyaji通信

進路指導ガイダンスの一環として、高校生が≪生き切る力≫を持った自立型人間へのアドバイス、サジェッション・・・になれば

第271話≪20代の所得格差拡大「2006年度版労働経済白書」より≫

2006年08月11日 | 一般情報
 高校生のみなさん、(^◇^)ノ お~ぃ~ゲンキか!

 みなさん、8月8日に、厚生労働省は「2006年版労働経済の分析」(労働経済白書)を発表しましたね。

 この中で、20代では年収150万円未満の人が増えて2割を超える半面、500万円以上の人も増加。すなわち、雇用契約期間が短い非正規雇用などの増加により、20代の若年層を中心に収入の格差が拡大していることが明らかになりました。

         

 労働経済白書は、収入が少ない若年層が増加したことが結婚の減少につながり、少子化を促進させていると分析しています。少子化対策の観点からも若年層雇用の安定が重要だと述べています。

 1990年代以降、非正規雇用者数は全年齢層で増加してきたが、特に若者で上昇している。年齢別の比率は1992年からの10年間で、20~24歳では10.7%から31.8%と約3倍。25~29歳では11.6%から22.7%に増えている。2006年1~3月期の15歳~34歳の非正規雇用者数は595万人で、前年同期比34万人増。これに対し、正規雇用者数は19万人減の1248万人。3年前と比較すると、非正規雇用者数は53万人増加している。最近の景気回復で雇用環境はよくなっているものの、依然として若い世代を中心に非正規雇用は増加傾向にあります。

 非正規雇用の増加が収入格差につながっていることがはっきりし、21世紀を背負って立つ20代のうち、年収が150万円に満たない低収入層は02年は21・8%と、1992年より6・5ポイント増加しています。これに対し、年収500万円超の層は3・2%で0・3ポイント増、そのうち700万円超は0・5%で横ばい状態で、総じて収入格差は広がっています。40代後半では最も高い層と低い層の月収差が30万円を超えています。

 20~34歳で配偶者がいる割合を雇用形態の違いで比較すると、正規雇用と比べて「非正規雇用」がほぼ半分、「パート・アルバイトなど」は約3分の1にとどまった。収入が少ないことが、結婚の障害となっていると見られる。白書は「少子化の主因は若年層を中心に配偶者がいる人が減ったこと」と分析している。

 大企業の大卒男性正社員の月給について、1990年~2000年の5年間平均の賃金分布を10段階に分け、最も高い層と最も低い層を比べたところ、
   40~44歳では、その差が、月給で約21.4万円 ⇒ 26.8万円に、
   45~49歳では、その差が、月給で約24.2万円 ⇒ 30.9万円に、
広がっていた。即ち、能力評価(業績、成果)が定着してきたことです。

 労働経済白書の中では、正当な能力評価(業績、成果)に伴う賃金格差の拡大については、「労働意欲を高める」と評価しながらも、人件費抑制を目的とした若年層の非正規雇用増加に関しては、「長期的・継続的視点を欠く」と厳しく批判しています。

 そして、
 労働経済白書で、今後の三つの課題として
  ◆どのような働き方を選んでも意欲がもてる公正な処遇の整備
  ◆格差の固定化を防ぐ職業能力開発の充実
  ◆若者が自立できる社会的支援
を挙げています。


 また、労働経済白書は、「年長フリーター」について触れています。

 大手製造業の工場で「請負」を含む外部労働力の活用が増えている実情を大きく取り上げ、「就職氷河期世代の『年長フリーター』」がそうした不安定な雇用に甘んじている実情を詳しく示し、この層が社会的に固定化されなければ、少子化のさらなる進行や将来の社会的負担の増大など「負のシナリオ」が現実になりかねないと白書は警告しています。

 解決策として労働経済白書は、
  ◆企業が正規雇用の採用に積極的となるよう促していくための仕組みをつくっていくこと
  ◆就業形態間の処遇の均衡を確保するよう、法的整備を含めた取り組みを強化していくこと
を挙げています。

 就職を希望しているみなさん、今の実態を充分に理解し、就職活動を行ってくださいね。