HageOyaji通信

進路指導ガイダンスの一環として、高校生が≪生き切る力≫を持った自立型人間へのアドバイス、サジェッション・・・になれば

第200話≪日本版SOX法≫

2006年03月24日 | 時事用語
 高校生のみなさん、(^◇^)ノ お~ぃ~ゲンキか!

 みなさん、HageOyaji通信も今回で第200話を迎えました。早いもので、創刊から17ヶ月目です。HageOyajiもこれを機に、みなさんと同じく、春休みを取らせていただき右脳の活性化に磨きをかけ、新しい視点で、またお目にかかりたいと思います。


 今回は今、上場企業の時事用語で一番旬な話題を取り上げます。それは≪日本版SOX法≫です。

 みなさんも既に知っている通り、日本企業の西武鉄道、カネボウ、最近ではライブドアなどが、相次ぐ会計不祥事がありましたね。それ以前には、米国のエンロン社やワールドコム社といった企業が粉飾決算などの不正会計処理で破綻した事件を知っていますね。

 米国では、このような企業犯罪の防止策として、2002年7月に米国で施行された企業改革法(サーベンス・オクスリー法:Sarbanes-Oxley Act)が制定され、この略称が「SOX法」です。

 日本でも相次ぐ会計不祥事やコンプライアンス(法令遵守)の欠如などを防止するため、米国のSOX法の流れに沿ったと言うより、真似した?法規制が検討され、次々に実施されており、これらをひっくるめて≪日本版SOX法≫と呼びます。

 簡単に言えば、日本の企業が積極的に取得している、品質管理のISO9000とか環境マネジメントのISO14000とか、情報セキュリティマネジメントシステムのISMSみたいなのをもう一つ構築して認証を取るようなものです。≪日本版SOX法≫は「内部統制管理システム」とでもいいますか、あるいは「財務情報」の品質管理システムと考えてもいいですね。

 というのはいずれも目的に合う仕組みを作って、第三者にわかるように仕事のプロセスを文書化し、関係者全員に教育、徹底し、その仕組みを運用し、その記録を取って、外部の公的審査機関の認証を取り、取った後も定期的に監査を受ける。≪日本版SOX法≫は監査法人等の監査人から決算ごとに監査をうけるわけです。

 しかし、今度は上のマネジメントシステム(ISO9000、ISO14000、ISMS)のように自主的ではなく、法律だから国が無理やりに取れといっているわけです。罰則規定もあるのです。だから今まで関心のなかったところなど大変なわけなのです。

 金融庁が(証券取引法を改正して)法律化を狙っている「内部統制を強化させて、それを公認会計士に監査させ、違反者には厳しい罰則を課す」という動きで、まだ確定したわけではないが 2005年7月に草案が出され、公開ヒアリングの後、一部反映させ12月に改定した「財務報告に係る内部統制の評価と監査の基準案」が出されており、これを元に最終的にできるであろう法律が≪日本版SOX法(またはJ-SOX法≫なのです。

 今のところ予定は、2006年中に法案を作り2008年3月期以降から(以降というのは2008年3月を含む)実施したいというスケジュールのようです。これは2008年3月で締める決算期、例えば2007年4月~翌2008年3月の期(2007年度決算)からということになります。

 故に、各企業は2008年3月末までには整備し終わっていて監査人のOKをとらねばならないことになります。2007年9月の上期末の中間決算のとき監査法人による監査を受けて指摘してもらい不具合とか不備の点(積み残しの部分)を3月末までに改善する。そして通期の決算について監査法人のレビューを受けることになります。


 しかし、みなさんは何故「日本版」と付いているか疑問に思うでしょう・・・・

 そうです。米国の「SOX法」をそのまま使わずに、「日本版SOX法」は更に調査項目を追加しているのです。若干これについて勉強しておきましょう。


 ◆「米国のSOX法」の内部統制の定義(フレームワーク)は
  目的
   (1)効率よく効果的に業務を行い
   (2)信頼できる方法で財務諸表を作成し
   (3)法律や規則に違反しない
  基本的要素
   (1)統制環境
   (2)リスク評価
   (3)統制活動
   (4)情報と伝達
   (5)モニタリング
になっています。

 ◆「日本版SOX法案」で付け加えたもの
  目的のところのへ、
   (4)資産の保全
  基本的要素のところへ、
   (6)ITへの対応 
が追加されています。

 ≪日本版SOX法≫の特徴は、米国のSOX法にはない「IT面での対応」を加えたことです。
(4)資産の保全のほうはそれほど影響はないが、(6)ITへの対応がくせもので、IT統制を盛り込んでいるので範囲が広がったり、米国のお手本もなく未知の部分も多くやるべきことがものすごく増えたそうですね。

 今日の話題は難しかったでしょうね。しかし、上場企業では避けて通れない21世紀最大の難関問題でしょうね。みなさんが就職するころには既にスタートしています。