HageOyaji通信

進路指導ガイダンスの一環として、高校生が≪生き切る力≫を持った自立型人間へのアドバイス、サジェッション・・・になれば

第24話≪全入時代での安易な選択をするなよ!≫

2005年01月26日 | 進路助言
 高校生のみなさん、(^◇^)ノ お~ぃ~ゲンキか!

 みなさん、日本でも2年後には数字上、「全入時代」を間近に控え、21世紀へ向けての各大学の方向性が問われていますね。(文部科学大臣の諮問機関である中央教育審議会は、2年後の2007年に「大学全入時代がやってくる」と予測)((注:参照)読売新聞、朝日新聞参照)

 6日の日本経済新聞によると、国公私大の全学長調査で「破綻・廃校が相次ぐ」と見る学長が89%、「大学同士の統合や経営譲渡が増える」と予想する学長が85%(複数回答)にもなっている。大学の生き残り戦争はこれからが本番をたどりそうだ。

 もちろん、これは数字上の話であり、一部の一流大学では依然として狭き門が続くはずです。しかし、多くの大学、特に日本の大学の7割以上を占める私立大学は学生獲得競争にしのぎを削らなければなりません。

 2月に集中する一般入試とは別のAО入試や指定校推薦など、いわゆる青田刈りの定員枠が法律で30%から50%まで拡大された。今後は、この枠でいかに学生を集めるか?高校を回って“セールス”する時代が、きたのである。

 1人でも多くの受験生を確保したい本番の一般入試を前に、サッカー部員の集団わいせつ事件など昨年末の一連の不祥事は、大学にとって致命傷になりかねない。5日には、箱根駅伝に出た順大の陸上部員が復路のゴール大手町に向かう途中、首都高で渋滞に巻き込まれ、一般道に出るため車を降りて路肩を走る“事件”を起こした。これらの事件は、青田刈りの致命傷になるでしょうね。

 すでに550以上ある私立大学の約3割が定員割れの状況であり、補助金収入を含めても支出をまかなえない大学が2002年度の時点で125大学あります。こうした赤字に陥っている私立大学の多くは、専門学校や短大から大学に「昇格」した歴史が比較的浅い大学が多いといわれていますが、大学は地域社会を構成するインフラの一つであり、もし倒産となれば地域に大きな影響を与えます。

 みなさん、昨年6月に大学としては初の民事再生法適用申請をした宮城県にある東北文化学園大学は学生や教職員のねばり強い存続運動が実り、大阪の医療法人がスポンサーにつき、再生に向けて一歩を踏み出しましたが、今後こうしたケースばかりとは限りません。

 大学の経営危機も重要な問題ですが、HageOyajiが心配するのは、高校生のみなさんが進学先の安易な選択が増加することだ。現在でも推薦入学やAO入試などが、一部で学生の青田買いになっていると指摘される方もあるが、学生確保に向けた争いがさらに厳しくなる大学全入時代にはこの傾向に拍車がかかることは必至だ。大学全入時代で、生徒が入学しやすさなど目先の理由で安易な選択をしないようにするためにも、 1 学年から3年間を見据えたキャリア教育などを計画的に実施することが必要になってくる。 そこで、第13話≪2005年、前倒し作戦を開始せよ≫を読み直して欲しい。

 今後の日本での大学経営は難しくはありません。ある大学の学長は「今後すべての大学が18歳だけにターゲットを絞るべきではない。生涯教育をターゲットにする大学だって出てきていい」と語る通り、社会全体としての大学へのニーズは高まっています。

 高校生のみなさんは≪内館牧子さん≫と言う方をご存知でしょう?内館牧子さんといえば、NHKの大河ドラマなどを手がける人気脚本家であり、横綱朝青龍問題で時々顔を出した(今場所の千秋楽に横綱朝青龍が44本の懸賞金の束を左手でつまむようにして受け取ったことに対し批判)(注:参照)、横綱審議委員ですね。この内館さんは、東北大学の大学院に在学中なんですね。横綱審議委員を務める内館さんは、相撲の研究を深めるために社会人選抜の入試を突破し、東北大学大学院・文学部の大学院生です。一般のサラリーマンであれば、そろそろ定年退職の準備に差し掛かる年齢ですが、内館さんの場合は、ますます活動範囲が広がっている、いや、広げているようです。平日は仙台で過ごし、週末、春休み、夏休み、年末年始などは東京で脚本を執筆する生活しているそうです。

 添付した資料の読売新聞に記載されているように、歌手の庄野真代さんもそうですね。今年3月まで4年間、法政大の人間環境学部で学んだ。「環境問題に興味があって一念発起したのですが、勉強し出すと、あれもこれもと関心が広がりました」・・・・と。


 既に、東京、大阪の主要都市には社会人の経験3年経過した人を対象に、社会人大学院が立地条件の良い場所に開設ラッシュが続いていますでしょう。

 今の日本の大学経営の現況は米国の1980年代によく似ています。財政危機に陥りかけた米国の大学は、社会人のリカレント教育や生涯教育、さらには良質な留学生を新たな「顧客」として迎え、再生した大学が多いのです。

 先ず、高校生のみなさん、自分の目指す大学を今から研究しておきましょう・・・

[土曜茶論]大学全入時代(2004年7月31日付  読売新聞)
大学全入時代「出口管理の強化」を(朝日新聞12/20)
懸賞金の取り方には物言い