孫ふたり、還暦過ぎたら、五十肩

最近、妻や愚息たちから「もう、その話前に聞いたよ。」って言われる回数が増えてきました。ブログを始めようと思った動機です。

大人の倫理感

2016年03月08日 | 日記
私は何社か転職した経験があるが、その中の一つで嫌な経験をしたことがあった。

当時の私の業務は、大手向けのコピー機用部品の組み立てに使う、部品を下請けに発注して、簡単な仮組み立てをしてもらう、その部品手配や納期管理、さらには原価管理などを担当していた。

事務所内の先輩社員たちが、やってきたことを引き継いだ業務で、先輩達からは「あそこの社長は曲者だから、気をつけろよ。」と言われていた。その時はどういう意味なのかよく理解できなかったが、何ヶ月か経つと、「よく言い訳をする、どこかずる賢い感じの年配者」という印象が定着してきた。

「何でもやるから、何か仕事を分けて下さいね。」会うたびにこう言われて、1年も経った頃、その社長から電話があって、仕事が終わってから、工場に立ち寄ってくれないか、と言われた。

何か困ったことでも発生したのかと、帰宅途中にあるその小さな下請けの工場に行くと、社長が工場に隣接した自宅の方から出てきた。

用件を聞くと、何か組立て仕事はないか、といつもの調子で聞いてきたのだった。「今はないが、何か頼むことができたらすぐにご相談させていただきます。」

そう言うと、社長は「ウナギは好きですか?」と唐突に聞いてきたのだった。同時に何かの包みを目の前にし出してきた。

「何ですか、これ?」と確認すると、「大した鰻じゃないけど、良かったら食べてください。」と私に持たせようとした。



「どういう意味なのか分からないが、こういうものは受け取れません」と伝えて私はその場を離れ、帰宅した。

翌日、このことを先輩社員達に話すと、「おお、あの社長はみんなに鰻の蒲焼を配るながお決まりなんだよ。」と言ってニコニコしているのだった。私は、「あんなもの受け取れないから、返して帰りましたよ。」と言うと、先輩達は何も言わず驚いた顔をした。

別の会社にお世話になったとき、会社に納品に来た下請け業者が、同僚の担当者にお米のような袋を付け届けしている光景を目の当たりにした。事務所内には、事務員や社員が何人も仕事をしている中で、「いつもお世話になっています。」と言って、お歳暮だったかお中元だったか忘れたが、手渡しているのである。



それを受け取った社員はどうするのかと見守っていると、自分の机の下に置いておき、帰りに家に持ち帰った。

奇遇なことに、その後この下請け業者の担当となった私は、棚卸か何かでその工場に出かけたとき、「私の出身の新潟のお米ですけど、良かったら食べてください。」と女社長から、コシヒカリと印刷された袋に入ったお米を渡された。

どうも断れないムードだったので、丁重にお礼を言ってもらったが、事務所に戻ってから、総務に渡した。多分、それは年末の社員によるくじ引きの景品になったと思う。

お歳暮とかお中元などは、日頃の感謝を伝える文化なのだろうが、渡す方はそれだけではなく、何か見返りを期待するケースはよくあることだろう。そして、貰った方も何かお返しを・・と考えがちになるのも事実だ。

こういうのも、日本文化の一旦なのだろうが、企業の汚職やスキャンダルは後を絶たない。鯖缶詰にサンマを混ぜて使っていたなどと先日も報道されていたし、集めた選挙資金1億3000万円の一部で豪遊していたなどと、先の東京都知事選候補者のことを夕方のニュースで見た。



コンプライアンスが滑った、コーポレイト・ガバナンスが転んだ、CSRの取組みがどうだ、こうだ等と偉そうな事をまくし立てたがる会社ほど、こういう横文字の意味などまったく理解が浅く、流行に載って騒いでいるだけの感じがする。

横文字など使わなくとも、経営者たるもの軸がブレていなければ、社員はまともになっていくはずである。





コメントを投稿