経営の視点から考える「知財発想法」

これからのビジネスパーソンに求められる「知財発想法」について考える

これぞ知的創造サイクル?

2006-11-07 | 新聞・雑誌記事を読む
 今日の日経に、早稲田大学のTLOのライセンス収入を原資にして、同大学発のベンチャーに出資する制度がスタートしたという記事が掲載されていました。これぞ知的創造サイクル、と興味深く読んでみたのですが、記事の内容を読んでみるとちょっとベンチャー投資の常識からは考えにくい制度となっているようです。
 記事によると、ライセンスにより得た利益の700万円を100万円を上限として7社に投資するそうです。大学の持株比率は2割未満に抑えるとのことですが、となると出資先はいくらぐらいの資本金の企業が想定されているのでしょうか。いくら大学発のアーリーステージのベンチャー企業とはいっても、100万円の出資を受けるために申請書類を準備したり年1回の事業報告を義務づけられたりするということは、経済合理性の観点からは選択し難い制度のように思います。上場によってキャピタルゲインが得られれば再投資に充てる方針とのことですが、100万円では20倍になったとしてもキャピタルゲインは2000万円以下、上場までの間の運営経費や上場できない案件の償却原資を差し引くと、普通に考えると再投資の原資など無いに等しいのではないかと思います。
 千里の道も一歩から、ということで、何ごとも始めることに意味があるということかもしれませんが、あまりに民間の経済感覚とのギャップが大きいと、「やっぱり大学は・・・」といった流れに引き戻されてしまいかねない懸念もあるように思うのですが・・・。


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