経営の視点から考える「知財発想法」

これからのビジネスパーソンに求められる「知財発想法」について考える

誰のパイを広げるか

2010-04-13 | 知財業界
 月刊誌「発明」の今月号に「企業における知財の意義」(またまたビックなテーマですが・・・)と題するインタビュー記事を掲載いただいたのですが、編集長のご厚意により、早々にPDFで公開させていただけることになりました。この春から知財担当となる方に向けてのメッセージ、といったコンセプトの企画ですので、該当しそうな方にはご一読をいただけると幸いです。

 話は変わりますが、2月~3月は中小企業の知財戦略関連プロジェクトの成果報告会で各地を訪問させていただきましたが、今年は残念ながら都合がつかず関東のシンポジウムに出席することができませんでした。参加された方のブログなどを拝見していると、今年はかなり‘コンサルティング’色が濃くなっていたようで、その点で私が関わった他の地域のシンポジウムとは雰囲気が異なっていたような印象です。対象が知財の実務周りから経営戦略にまで深化しているようで、それ自体は向かうべき方向に進んでいると思うのですが、‘コンサルティング’とかいった方法論が先行してしまわないかがちょっとばかり気になりました。提供者側の市場創出という側面のほうが前に出てきてしまうと、結局のところコストを負担するのは顧客ですから、そこに顧客のビジネスとサービス提供者のビジネスが対峙することになってしまうからです。勿論、そのサービスが顧客にとって価値のあるものであればWin-Winの関係が築けるので問題ないわけですが、知財の世界ではそんなに簡単に価値が顕在化するわけではないので、サービス提供者側の市場創造=「サービス提供者のパイを広げる」という色彩が強くなってしまうのはあまり好ましくないように思います。
 知財サービスを提供して業をなす者としては、「知財サービスのパイをどう広げるて収益を得るか」ではなく、「知財サービスを通じて顧客のパイをどう広げて収益の分配を受けるか」というアプローチ(要するにベンチャーキャピタルみたいな発想ですが)でやっていきたいとは常々思っているのですが、言うは易し行うは難し、ですね。


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