経営の視点から考える「知財発想法」

これからのビジネスパーソンに求められる「知財発想法」について考える

「技術」×「財務」の発想

2008-03-30 | 新聞・雑誌記事を読む
 日経ビジネスの最新号の特集記事のタイトルです。
  秘策は「技術×財務」
  日本の時価を上げろ
  新・モノ作り大国で危機脱却
 「知財」とか「特許」などの文字がないので知財関係者には見落とされてしまいがちかもしれませんが、‘ビジネス系’知財パーソンたるためには、こういう記事こそしっかり読んでおくべきと思います。日本企業が抱えている課題の中で、知財活動を続けることにどういう意味があるのか。「粗利率の向上に貢献する」ことが一つの解と考えていますが、この記事では「『技術』×『財務』の発想で高収益体質に転換する巧みなマネー戦略が不可欠になっている」とまとめられており、このシナリオの中で基本的な知財戦略のあり方を考えることができるのではないでしょうか。
 「技術」(含む「知財」)と「財務」は、企業活動の中ではその間に「事業」を挟むことが通常なので、比較的距離感のある要素となっており、それぞれの担当者は他方をあまり好ましく思っていない印象を受けることがあります。しかしながら、これらはいずれも「事業」を支えるために重要な道具であって、どっちが重要とかどうかということではなく、同じ方針・シナリオの下でいずれも効果的に機能させるべきものです。「『技術』×『財務』の発想」とは、まさにそのことを指した表現であると思います。
 事業活動に融合した知財活動のあり方を考えるためには、事業活動が抱えている問題をよく理解しておくことが必要であり、こういう記事を「知財に関係ない」と見てしまうかどうかが、真の‘ビジネス系’たり得るかの分かれ道になってくるように思います。