消防が死んで、僕は初めて棺桶というものを持ったし、初めて火葬場という所に行った。
消防は青白く冷たそうだった。
なんかあのオーブン的なところに入れられて、
「チン!!はい、できましたよ!!」みたいな感じで出てくるのかと思ったら、
意外と時間がかかるものだった。
その待ち時間というのは何とも特別な時間だったように思う。
死んで間もない消防がすぐそばで焼かれているのだから、
やはりみんな消防の事を考える。
通夜だ葬式だといのはバタバタしてるうちに終わってしまうが、この待ち時間は結構ヒマなのだ。
たまに会う、いつも酔っ払っているオッサン・・・
皆と語り合うほどの思い出はなかった。
だから父や叔父達が話してるのをずっと聞いていた。
「酒を飲んでない時は仏様のような人だった。」とか、
「なにかってーと、バガァー!!と叫ぶ。」とか。
僕の少ない思い出から推測するに、かなり気の弱い人だったのではないかと思う。
だからこそ常に酒を飲んでいたのだと。
この辺もかなり菊次郎的だ。
例のオーブン的なアレから出てきた時、もう消防の姿はなかった。
見た瞬間、僕は心の中で「ハムナプトラ!!」と叫んだ。
まぁハムナプトラ観てないけど。
そしてこう思った。
「消防のおんちゃん、あの世で達者にな。」
ん?
これが仏教ってことなんじゃないか?
釈迦だ如来だって話はよくわからねぇけど、
死んだ知り合いに「元気でね。」って手合わせるってことでいいんじゃないか?
というか、そーゆー事にした。今まで答え出てなかったんだけど。
外人に宗教を尋ねられたら、「まぁ仏教ですよ、アハハ。」と答えようと思う。
消防の遺影はすごく良い写真だった。
赤ら顔で周りを睨みつける鬼はそこにはおらず、すごくナチュラルな、品のあるイイ笑顔だった。
彼は《仏様のような仏様》になった。
享年63。
泥酔状態でも、「火の始末だけはちゃんとやってけろ。」と言う生粋の消防士であった。
おしまい。
投稿者 東青森のおくりびと
消防は青白く冷たそうだった。
なんかあのオーブン的なところに入れられて、
「チン!!はい、できましたよ!!」みたいな感じで出てくるのかと思ったら、
意外と時間がかかるものだった。
その待ち時間というのは何とも特別な時間だったように思う。
死んで間もない消防がすぐそばで焼かれているのだから、
やはりみんな消防の事を考える。
通夜だ葬式だといのはバタバタしてるうちに終わってしまうが、この待ち時間は結構ヒマなのだ。
たまに会う、いつも酔っ払っているオッサン・・・
皆と語り合うほどの思い出はなかった。
だから父や叔父達が話してるのをずっと聞いていた。
「酒を飲んでない時は仏様のような人だった。」とか、
「なにかってーと、バガァー!!と叫ぶ。」とか。
僕の少ない思い出から推測するに、かなり気の弱い人だったのではないかと思う。
だからこそ常に酒を飲んでいたのだと。
この辺もかなり菊次郎的だ。
例のオーブン的なアレから出てきた時、もう消防の姿はなかった。
見た瞬間、僕は心の中で「ハムナプトラ!!」と叫んだ。
まぁハムナプトラ観てないけど。
そしてこう思った。
「消防のおんちゃん、あの世で達者にな。」
ん?
これが仏教ってことなんじゃないか?
釈迦だ如来だって話はよくわからねぇけど、
死んだ知り合いに「元気でね。」って手合わせるってことでいいんじゃないか?
というか、そーゆー事にした。今まで答え出てなかったんだけど。
外人に宗教を尋ねられたら、「まぁ仏教ですよ、アハハ。」と答えようと思う。
消防の遺影はすごく良い写真だった。
赤ら顔で周りを睨みつける鬼はそこにはおらず、すごくナチュラルな、品のあるイイ笑顔だった。
彼は《仏様のような仏様》になった。
享年63。
泥酔状態でも、「火の始末だけはちゃんとやってけろ。」と言う生粋の消防士であった。
おしまい。
投稿者 東青森のおくりびと