「餌と水は敢えて用意をして行かなかった。呼び込みの合図をしながら鳩舎に入り、餌を撒きながら数度若鳩の数を数え直し、一羽の落伍者も無く帰ったので取り敢えずはほっとした。北の方からは三回ほど十キロ位までと考えていたので、明日も天気が良ければやろうと思った。反対方向の訓練は本当は何処までしたら良いか分からない。日本ではこれ位の距離までしかしていなかったので、鳩を失っては意味がないと思い、これで良いかと三日間つづけて行った。いつかはファンリントらしき人物がレース前どれ位の距離をしているのか、見かけたら何処まで行っているのか後を追いかけて見ようと考えていた。本格的な南からのレースに向けての舎外を始めた。舎外を朝の他の鳩達が終わってから、少し餌を与えて置いて二三十分してから午前の舎外を始めた。餌を与えてから舎外をすると、追わなくとも長い時間飛ぶ事は日本にいる時から知っていたが、レース時の入舎の事を考えて敢えてそれはしていなかった。それゆえになるべく追わずによく飛ばせて、入舎をスムーズにできる様にと考えて見た方法てあったが、二時間以上飛ぶ様になるまで、事前に与える餌の量とトウモロコシの混ぜる量の加減で調整していった。しかし、満足しない時間にまで飛ばない時は午前は追う事も有ったが、湿度の多い日には飛びの軽さがやはり悪く見え、日本との違いは空の色に現れているような気がし、レースでの負荷の違いはあるのだろうと思われていた。午後は餌を与えずに鳩成りに舎外をする事にし、水浴びなどもさせたり、なるべく疲れが取れると思えるような事をと考えながらしていたが、入舎させる前は一度だけ追う事をし、降りようとするタイミングに合わせて呼び込んだ。こうした方法に舎外を変え飛びが安定するように成ったので、南からの午前の訓練を方向が逆に成るので五キロ位から始めようと準備をし、地図を見ながらレースでは西側に引っ張られる事を思い出し、最初の放鳩地のモミニィとの直線上の線とレースで飛んでいるだろうと思われる線と、別れられそうな何処か良い所は無いかと、その位置を地図の上で迷ってしまったが走り出した。」
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