私のぼやき

不平不満をぶつける

中国人の恨みは百年でも消えない

2006-02-25 10:41:47 | ひとりごと
偽満州国デッチ上げの関東軍に対する憎しみは中国人子々孫々に語り継がれるだろう。
最近読んだ「満州・誰の大地」佐藤吉彦著によれば、表面的には和解できても心の底にわだかまる日本への憎しみは何百年たっても消えることはないだろう。
 満州国に関する著作は沢山あるが、日本人が現地人を蔑視して呼称した満人に近い立場であの時代を描写した作家はあまりいない。
 主人公風見信之は現地語の新聞社に記者として勤務、中国語ができるので新聞社在籍のまま日本政府の宣伝機関「協和会」運動の宣撫工作隊に通訳として参加する。
 関東軍の支援のもと現地民に満州国建国の意義・日本がお題目とした五族(漢・満・蒙・鮮・日)協和の精神・王道楽土の建設を目指し共に栄えようと満州人を懐柔する宣伝活動をしながら天然痘予防注射とか医療活動をする。
 満州国とはなにであるか当時の民衆全然知らない。日満で大きなトラブルになるのは土地の買い上げ事業であった。日本は国内に溢れる余剰人口のはけ口として満州国に失業者・農村の次男三男の移植先として満州国に広大な土地を必要とした。
 関東軍は対ロシア戦略として、退役軍人を中心とした開拓者を満州に配置することが国防上不可欠と考えた。
 現地人が耕作している農地を強制的に安い値段で買い上げ、応じない農民には武力を行使し立ち退かせた。これに反対する勢力が匪賊として武力抵抗し日本軍を悩ますことになる。
 風見は宣撫隊の通訳として土地取上げの現場を目撃することになる。新聞社の同僚満人記者と取材活動を通じて彼らの日本人観を知り、心に恥じながら付き合っていく。
 日本人の中には心から満州の農民の幸せ生活の向上のため尽力するため協和会運動に身を投じる人たちもいる、その人たちも軍人と共同行動をすることで満州人の反発をうけ、軍人に異議を申し立て少しでも現地の人たちの役に立とうと努力する。
 風見を宣撫工作活動に誘った田上誠一もその上司の小林も満州国に役立つと思い運動に参加し、農民の武装抵抗に遭い命を落す。
 風間の同僚新聞記者の宋は一連の抵抗運動の取材を通し、日本軍の暴虐を見聞きし、次第に愛国心に目覚め農民たちの抵抗運動に参加していく。
 宋が結婚を考える少女阿玉の苛酷な運命は満州の悲劇を象徴する。
 彼女は日本軍の匪賊狩りで両親が殺され、阿玉の手違いで祖母の両目を潰し、祖母の憎しみを受け精神に異常をきたす。日本人沢に攫われ売春婦となり沢のなぶり者とされる。
 宋や風見と一緒に故郷を訪ね、村人に宋との結婚を認めてもらい、その直前にまた日本軍の匪賊狩りに出会い、兄が殺され、彼女も暴行されて殺され死骸となって村にの送り返されるという目に合う。
 なんともいえない運命である。

ハルピンかハルビンか

2006-02-18 11:53:18 | ひとりごと
 市営の図書館で蔵書検索したときに「ハルピン学院と満州国」で検索すると在庫なしであったが「ハルビン学院と満州国」で検索するとヒットした。
 我が長い人生で「はるぴん」と思い込んでいたのが「はるびん」が正しい発音であったのだ。
 中国語の「濱」は音では「bin」と「hin」の間のぐらいの音なんだろう。
データを入力するとき「bi」「pi」で完全に別のものとコンピュータに認識されるのだろう。
 アナログ文化とデジタル文化の違いがハッキリ認識できる。
昔、ロシヤ文学など読むと人名などに井戸のヰに濁点をうった「イワーノヰ゛ッチ」なんてあったが、デジタル時代には使えないヨ。
満州もんもずいぶんあるが、今回読んだ「ハルビン学院と満州国」芳地隆之著は出色ものだ。
 1962年生まれだから全くの戦争を知らない世代だが、戦争経験者の体験談から史実を探りハルビン学院の歴史と卒業生のエピソードを縦軸に日本が満州に進出していく政治的経済的な原因とその結果をパノラマのようにみせる。
 最近靖国神社問題から発展して戦争責任まで論議を呼ぶようになった。 昭和の始めから敗戦まで我が国の現代史をもう一度検証する必要がある。
 本書は「ハルビン学院」の歴史を辿ることで日本が大陸進出し満州国建国、その崩壊を当時の国際情勢と日本の国内事情を知ることが出来る。
ハルビン学院は1920年(大正9年)後藤新平によって設立されたロシア語の専門学校である。旧制中学卒業者を対象に全国から各県1名の選抜で集めたたので、陸士、海兵、官立高等学校並みのレベルであり且つ俸給55円付きであるからかなりの難関であった。当時大学卒の初任給は50円から70円であったそうだから好待遇である。
 当時の国の指導部はロシアが国の安全にとって重要であると考えていたので、ロシアの事情に精通した若者を育てることに腐心したのだろう。
 卒業すると外務省・軍など政府機関で働いた。1945年日本の敗戦まで25年間ほどの歴史であるが育った人材は豊富である。

データベースとしての「ムラ」共同体

2006-02-15 10:23:14 | ひとりごと
「王道楽土の戦争」の著者吉田司の視線は面白い。
 
彼は東北の僻地の出身だから、田舎をよく理解している。
曰く、「ムラ」は濃密な情報共同体だというんだ。
<土地>を媒介にした生産共同体で、そこでは個人主義は成立しないという。
 戦前農村では自分の女房の肉体の奥深い秘密まで、若衆宿の“夜這い”で村中の男たちにスッカリ熟知されている。
 村の暮しの中の日本人はスゴイ情報通で、他人の家の二代前、三代前のご先祖様の悪行を、つい昨日のことのように記憶しているし、村の民衆にとっては自分一代限りの人生ではないということだ。つまりそいつは古いご先祖と自分の死後に(家系)を受け継ぐ子孫との間に生きているということ、自分の人生の行状はすべて村びとの頭にあるデータベースに記憶され、村が続く限り消去されることはない。「彼の善性は、地に呪縛されたところから生れる」というのだ。
 田舎の生活を経験しないものには理解できない部分だろう。

そこで言えるのは、
アメリカが押し進めるテロ対策としての全情報認知システムは全世界的に「ムラ」的な情報を強大なコンピュータを使ってデータベース化して村人(市民)を監視しょうとするものだろう。
 

東北の怨念奥羽越列藩同盟

2006-02-10 11:10:46 | ひとりごと
明治維新に朝敵とされた奥羽越列藩同盟の怨念が続くと説く。

東北人の書き手に見られる怨念は西国の人間には理解できない。

最近読んだ「王道楽土の戦争」上・下で著者吉田司はよく奥羽越列藩同盟ということを強調している。戊辰戦争に敗れた河井継之介から平民首相原敬・満州事変の黒幕板垣征四郎・「五族協和」を唱えた石原莞爾・日本列島改造論の田中角栄などが東北人ないし越後の衆として明治維新に官軍として日本の支配層となった薩長連合に怨念の戦いを挑むという構図である。
 確かに今日の雪害をみると田中角栄が「日本列島改造論」でぶち上げた、「みなさん、この新潟と群馬の境にある三国峠を崩してしまう。それすれば、日本海の季節風は太平洋に抜けて、越後には雪は降らなくなる。みんなが大雪に苦しむことがなくなるのであります! ナニ、切り崩した土砂は日本海に持っていく。埋め立てて新潟と佐渡を陸続きにしてしまえばいいのであります」が新潟の選挙民に受けたのは理解できる。

満州ものを読むと、戦後の日本経済再興は満州国建設の夢を敗戦による挫折から国内で実験したものであるという説を唱える人が多い、吉田司のその立場に立つ。
 東京オリンピックのとき開通した東海道新幹線は南満州鉄道の模倣であり、満州建国に新しい国造りを夢みた、関東軍参謀たちや岸信介に代表される官僚群、満鉄調査部に巣くった当時の左翼崩れのインテリ層が呉越同舟の夢が破れ祖国に引き上げてきた。
 


協和

ブッシュ大統領とシギント

2006-02-03 12:41:05 | ひとりごと
 アメリカが盗聴問題で大揺れ
 
かってアメリカ国民でさえその存在を知らなかったNSAが脚光を浴びている。
ブッシュ大統領が記者団をつれて訪問、職員を激励したことはニュースになっている
 テロとの戦いの最前線だということだ。
 米政府機関が、電話やメールを盗聴しているという問題は、昨年12月16日付けのニューヨーク・タイムズの報道で明らかになった。

 ブッシュ大統領はテロ対策として認められると主張するが世論は必ずしも同意しない。
 盗聴はあらゆる国内外の電話の通話から、テロリストが使いそうな言葉や表現を探し『ジハード』という言葉があったら、その会話に焦点をあて、調査のため(電話のシステム)から取り出す分析官が通話したいて人の電話番号からネットワークを暴き出すらしい。
 歌手のハリー・ベラフォンテは1月30日のラジオ放送で「私はこの米国で、新しい『ゲシュタポ国家』の出現を迎えているような気がします」と語っている。
 ブッシュ政権の違法盗聴をナチス・ドイツの秘密警察の活動になぞらえているのです。

最近、日本でも警察が組織暴力犯罪対策として盗聴法に基づき実施したと報じられた。
対象が市民運動や政治活動にまで拡大しない保障はない。

ニューヨーク地下鉄テロ騒動とシギント

2006-02-02 09:27:42 | Weblog
キーフの「チャター」に面白いことが紹介されている。

2003年3月2日、ニューヨーク市警は地下鉄へのテロ攻撃にたいする防衛作戦を突然発動した、これは日本でも報じられて記憶している。
 なんでも中心部から郊外へ歩いて帰る人々の映像が流れていたから。
 一万六千人の要員が動員され、重火器・防弾チョッキで身を固め爆発物探知器・放射能感知器・ガスマスクを身につけた要員が地下鉄全線で車両やホームを点検した事件である。
 ニューヨーク市警を焦らせ、慌てて防衛体制に走らせのは何なのだろうか。
このゲームを始めたのは何者だろう、それはテロ容疑者同士の会話の盗聴によって得られた、たった一つの言葉「アンダーグランド」(地下)からだ。

 これからの教訓はテロリストは情報機関に情報らしいものを拾わせることで、経済活動を混乱に陥れることが可能だということ。
 

イラク戦争とシギント

2006-02-01 11:13:43 | ひとりごと
 SIGINT(シギント)Signal Intelligenceの略
電子信号の傍受による諜報活動全般を指す、またはそれによって傍受された情報。

「チャター」の著者パトリック・ラーデン・キーフによると、
2003年2月5日、国連本部の安全保障理事会で当時アメリカ国務長官であった、コリン・パウエルはイラク進攻を正当化するための大量破壊兵器の存在を示す証拠として、
イラク共和国第二親衛隊の二人の指揮官が交した会話を傍受した盗聴音声を聞かせた。
アラビア語のききとり難い二人のやりとりを響かせた。
 パウエルが後日、国務長官を退任してから全世界の自分の恥ずべき汚点と詫びたイラクが大量破壊兵器を所有すると判断した情報である。
 このシギントからブッシュ政権は、
 「手軽に見積もってもイラクが化学兵器として使用可能な物質を百から五百トン貯蔵していることを確認した」そう述べた。
 「この量は、一万六千発の戦術ミサイルを満杯にすることができる」とパウエルは言った。「仮に見積もりの下限である百トンだったとしても、サダム・フセインは百平方マイルの地域に対して大勢の犠牲者を出すような攻撃が可能なのです。これはマンハッタン島の五倍の面積にあたります」

これから言えることは、
 ブッシュ政権が本気にそう思っていたのかは世界を偽るためにいったのかは別にして、
アメリカ国民は本当にイラク進攻を支持してブッシュの支持率が80%もあったのは事実である。
 今になればブッシュでさえ大量破壊兵器の存在は否定している。
イラク国民何十万人の犠牲は誤った情報から生れたことになる。
 何年か何十年か先に世界はこの戦争を裁くことになるだろう、
 少なくともブッシュは戦争犯罪人として裁かれるであろう。