私のぼやき

不平不満をぶつける

何が彼をそうさせたか

2006-01-08 10:38:42 | ひとりごと
 下関駅の放火事件の犯人は74歳の孤老であった。
何が彼をそうさせたか。
74歳まで生きてきた彼の人生、あの戦争を生き延び、精一杯働き今まで生きてきて、
人生の終焉に差掛かり牢獄のほうが居心地がよいという気分なんだろう。
 彼は放火の動機について、空腹とムシャクシャしたからと言っている。
おそらく警察に捕まり、留置場にいるほうが食事にありつけ、寒さからも逃れられると思っていたのだろう。
 無力な個人が黙々と社会の中で働き、税を納め、社会を支えてきたが、歳をとり、働く体力もなくなったとき世間は誰も構ってはくれない。
 敗戦後のように皆が等しく貧しく、今日食べるものにも困るという状態なら我慢が出来る。周囲は正月気分で着飾って楽しそうに行き来する、自分だけが空腹で寒さに震え惨めな暮しを続けている。
 どうにでもなれという気持ちになるのはわかる。
 我が国は階層分化が進んできて、もう取り返しのつかない社会に入っているのだ。
 社会の上位10%のものが富を独占し、それを守るため、あらゆる詐術を使って現状を維持しょうとする。
 自分たちに都合のよい政権を維持するため選挙制度を「少選挙区」とし比較第一党が議席を独占できるようにする。メディアを買収し自分らに有利な報道をさせ、反対意見を封殺する、経団連のように与党に献金することで大金持、大企業へ減税を図る。
 社会的弱者は政治的にも発言する場はないし、投票行為でも不利になるような仕組みとなっている。
 競争社会での勝者は努力したものは報われて当然だという。
 弱者を思いやることがないと、世の中は金持ちと貧乏人に分裂する。
今回の事件はその前兆だろう、これからますます普通の人の犯罪が増える。
 いま非正規労働でなんとか食べている数百万の労働者が歳をとり、働けなくなったとき、無年金者となり、街頭で生活するようになれば、おとなしく死んでいきとは思えない。警察官をいくら増員しても防ぎきれない犯罪が増加することだろう。