よんたまな日々

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「リサイクル幻想」武田邦彦

2004年12月22日 | 読書
少し前に、「ソトコト」という雑誌を買った。電車の吊り広告で、最近のエコブームのトレンドをちゃんと押さえているような印象があり、好感を持っていた上に、その号は「ロハスな住空間を考える」特集だったのだ。
で、買って失望しました。住空間つーから、間取りの話かと思ったら、ひたすらインテリアばかりでした。なんか、エコロジーの名の下に消費を煽られているようで。
「ソトコト」を読んで考え始めたのが、最近のエコロジー運動は、「地球にも自分にも優しい」というところを狙っているようですが、それっておかしくないですか?
我々が人工的な快適さをひたすら求めたが故に失った自然の良さを復活させようとしている。これはいいのですが、何が自然にダメージを与えたかというと、無節操な化石燃料の消費と、自然が分解できないような大量の化学合成物質の散乱でしょう。それを、もうちょっと合理的に何とかしようと考えないの?
尾瀬に車で乗りつけちゃあまずいでしょう。しかも、外食産業から買った弁当持って。

と、他人を批判するのは易しいのですが、振り返って自分は、と考えた後味の悪さを抱えたまま、1ヶ月が経って。この本を見つけました。(前置き長くてごめんなさい。)
この本は別にエコ運動すべてを合理的に考えるのではなく、徹底的にリサイクルのみにこだわっています。現状、リサイクルがうまく進んでいないのは、ある程度この問題に関心のある人なら常識だと思います。

というわけで、以下のリストが常識だと思っている人は、この本を読んで考えを改めてください。
1. 現在のペットボトルやアルミのリサイクルがうまく進んでいないのは、リサイクルに出す人の意識や、リサイクルを受ける側の技術の問題で、やがては、コストメリットが出る形で回るはずである。
2. 紙、ペットボトルやアルミなど、リサイクルが比較的容易とされているもののリサイクルがうまく行くようになれば、それを応用して、次々と高度なリサイクルにチャレンジしていけばいい。
3. リサイクルによって再生されたものは、新品と同じ品質で、何度も再利用可能である。
4. リサイクルが進めば、不法投棄も減り、やがては重金属などの有害物質の自然環境への流出もなくなる。
5. リサイクルは全て国内で閉じるべきである。環境意識の低い海外にゴミ処理を任せるなんてとんでもない。
6. ゴミを燃やすと有害物質が発生するので、なるべく燃やさずに再利用すべきである。
7. 原子力発電は環境に優しくない。
8. 江戸時代の循環型社会がリサイクルのモデルとしては理想的である。
9. 再利用のために必要なコストまでけちる日本の企業はけしからん。

工学というのはこう使うのだという見本を見せられたと感じました。できれば、環境関連の実務に携わっている人々に読んで欲しい本です。

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