
NHKの『プロフェッショナル』という番組で、バイオリニストの樫本大進さんの
『仕事の流儀』を拝見しました。
私はまったく知らない人でしたが、樫本さんは30歳の時から、世界最高峰の
オーケストラ、ベルリンフィルハーモニー管弦楽団のコンサートマスターを
すでに8年間も務めているんだそうです。
コンサートマスターっていうと、楽団の中で一番上手なバイオリニストだと
いう認識しかありませんでしたが、この番組を見て、コンサートマスターを
見る目が変わりました。
そもそもベルリンフィルですから、楽団員は世界トップクラスの音楽家ばかり。
いくらバイオリニストとしては超一流であっても、30歳の若さの日本人が
猛者たちをまとめるっていうのは、一筋縄ではいかないのに、私、それすら
最初は分かっていませんでした。

「ベルリンフィルでコンマスをやってみないか」
というオファーを受けて、乗り込んではみたものの、最初は誰も口すらきいて
くれなかったというところからのスタートだったそうです。
ベルリンフィルの正式なコンマス就任するには、2年間のお試し期間中に
楽団員の2/3以上の承認が必要なんだそうです。それが得られない場合は、
失格・・・
最初はそんなスタートだった樫本さんですが、異例中の異例で、期間を半年
残して楽団員の賛同を得たそうです。
どうやってそれを成し遂げたのか、その一端をコンサートに向けてのリハーサル
の場面を見ることでうかがい知ることができました。
ベルリンフィルのリハーサルにカメラが入るのは世界初。
それは、団員たちが、
「ダイシンのためなら」
と言ってくれたというから、今の信頼関係が分かるでしょ。
いつもコンサートで見るのは、指揮者は絶対 という姿ですが、驚いたのは、
樫本さんは、楽団員をまとめるだけでなく、楽団員を代表して指揮者に物申す
んです! そして指揮者もそれを受け入れる。
だから樫本さんは楽団員から信頼される。
「ダイシンから言われると『No』とは言えないから」
指揮者が伝えきれないことを、演奏中は全身、そして指先を使って楽団員に
伝える。 そんな役割までしているとは!
そして最後に、この番組のいつもの質問 「プロフェッショナルとは?」:
「自分の仕事を心から愛して、楽しみながらやって、
常に、先のもっと先を求める姿勢」
そう言えば樫本さんの転機になった師からの言葉が、
「音楽をもっと楽しめ」
そして、今、樫本さんは言います。
「だって『音楽』って『音をたのしむ』と書くじゃ
ありませんか。
演奏する側が楽しんでいなかったら、聴いてる人が
楽しいはずがない」
プロフェッショナルとは、自分の仕事を楽しめなきゃいけない。
そう「楽しく働く」。
これですよね。
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