大脳山脈

大脳あるところ山脈あり

公園

2022-06-11 | 混線頭

公園はいつも真夜中にあるらしい

一つだけ立つ街灯はまたたきもしないし
揺れることのないブランコの影の中
崩れることのない砂のことりの羽根の下
どこを探しても
何か大切な時を示す時計はみつからない
記憶は容易く別のものに変わるというのに

川向こうの町には空があふれている
たくさんの太陽があふれている
そのままたくさんの空に押しつぶされればいい
押し潰されて壊れてしまえばいい
町のざわめきはこの公園には届かない

バス停を降りるとそこがこの公園で
それでも誰一人真夜中のバスから降りることはない
どこから乗ってもバスの行先はこの公園だから
だれでも公園を訪れて公園を楽しめる
公園の真夜中を楽しめる

暗闇の中に名前など隠されていないのだし
真夜中の公園は心臓の隣にもある
バスが心臓を轢き潰さないように
公園でバスから降りる前には
そこが自分の心臓の隣でないと
何度でも繰り返し確かめることにしよう
それとも
公園には歩いて行くことにしよう
間違って心臓を潰さないように
ゆっくりと歩いて行くことにしようかと