サン・ピエトロ大聖堂の後陣に、まばゆいばかりの装飾とともに置かれているのが「サン・ピエトロの椅子」です。
9世紀に神聖ローマ帝国のカール大帝から送られたこの椅子は、
バロック期になってベルニーニによって装飾がなされて、現在のような姿になりました。
全体的なデザインは、バルダッキーノ(大天蓋)と調和するようになされており、
躍動感と神秘性が強調されています。
椅子の真上に輝いている聖霊のシンボルとしてのハトは、
この椅子に座るものこそ、キリストの後継者である、といわんばかりです。
「サン・ピエトロの椅子」とは少し離れた場所に、ブロンズ製のサン・ピエトロ像が置かれています。
どうせなら、この像を「サン・ピエトロの椅子」に座らせておけばよいのに、と思ったりもしてしまいますが、
訪れる人々の手に届く場所に据えられているこの像は、
右足に触れると幸せになれると伝えられており、右足に手を置いて記念撮影をする人が絶えません。
そのわずかな合間をぬって撮影したこの写真、
右足のつま先部分だけがすりへってつるつるになっているのがわかるでしょうか。
わたしたちも、もちろん右足に手を置いて記念撮影をしてきましたよ。