サンタ=マリア=デル=フィオーレの魅力は、なんといってもその色合いと大きなクーポラです。
壁面の大理石の白と緑とピンクの色のバランスと、明るめのレンガ色の屋根。
少しバランスが悪いかなと思えるほどの大きなクーポラと、そのすぐ下の丸窓が、
全体的にやわらかな印象を与えてくれます。
クーポラを設計したのはブルネレスキで、
この人については、
さまざまなエピソードが残されていますが、
最も有名なのは、ギベルティとの
サンジョバンニ洗礼堂の門の彫刻をめぐる
コンクールの勝負でしょう。
もしブルネレスキが勝っていたら、
ブルネレスキは一流の彫刻家として
世間に認められていたかもしれませんが、
この美しいサンタ=マリア=デル=フィオーレの
クーポラは存在していなかったかもしれません。
クーポラをのぞく教会全体を設計したのは、
アルフォルノ=ディ=カンビオですが、
実はファサードだけは19世紀になってから
ネオ・ゴシック様式で作られたものだそうです。
そのことを考えると、サンタ=マリア=デル=フィオーレが
今の姿になるまでには、
ずいぶんと長い年月がかかっているのだと実感させられます。