道楽人日乗

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ネタバレ!映画「オール・ユー・ニード・イズ・キル」の矛盾点に対する勝手な考察。その1。

2015-02-01 18:16:56 | 映画 ネタバレ感想
ネタバレ感想です。原作、漫画ともに未読。以下は映画版についてのみ語ることが目的のおしゃべりです。

映画『オール・ユー・ニード・イズ・キル』予告編

 たまたま動画のトップに出た、リタの勇姿を描いた壁画。


いろいろ前略。アメコミ映画を続けてみていたので深く考えない癖がついてしまいました。
この映画には、中盤にどうにも気になる矛盾があるとのこと。
僕は気がつかず、Uさんに教えてもらいました。

あらましは、戦闘中の異星生物中、特定の個体の血を浴びると時間遡行能力が身につく、しかし人間の時間遡行は、その「死」によってしかスイッチがはいらない。トムは図らずも力を得てとまどっている。そして、かつてその力を持っていたというリタと出会う。リタは負傷して輸血をうけたために、力を失ってしまったのだという。


問題点1 リタは輸血による能力の喪失をどうして知識として継承できたのか?何故、死にもしないのにそれを断言できるのか
他にリセット者がいないので、死んだらどうなるかを確認出来ません。自分で試してみることも当然出来ません(リスク大きすぎ)。しかし、輸血の設定がおかしな事になると後半の設定が成り立たなくなります。
検索してみると、この事に疑問を抱いた人は皆無ではないのですが話はそれ以上にふくらまず、中には「考えるな、感じたんだ」的に納得している人もいるようです。

これとは別に、多くの人が感じている疑問点がもう一つあり、それは次のものです。

問題点2 ラストで、打ち倒した敵星人オメガ体の血液を浴びたトムは、再び時空を遡航する。しかし、目覚めた世界では、敵星人が倒されたという事象はリセットされず、人類の勝利した世界になっている。目覚めた場所もヘリの中とこれまでと異なる。
映画の前半で繰り返されたルールだと、トムは敵を倒す前の状態にもどらなけらばならない筈。敵までもいなくなるのは、ルールの改変としか言いようがありません。

Uさんは問題点1に気づいた時点で、話を追うのが厭になり、殆どの人がここをスルーするのが不思議でしょうがないとのこと。

この文章の目的はおもに問題1 をなんとかするために屋上屋をかさねることにあります。

まず、確認しておきたいことがいくつかあります。
敵星人は、1.襲い来る無数の個体(ギタイ=ドローン体) 2.ドローン体を操る中枢神経の個体(アルファ体)3.どこかでそれを操る、脳のごとき中心体(オメガ体) という3つの姿を持っています。集団で一個の個体を形成しているようです。時間遡行をおこなうのは戦闘個体の方。アルファ体は618万体に一つというとくべつな個体。その上に中心体オメガがいます。複数の時間遡行が起こったとしたら、とてつもなくややこしいのですが、オメガ主観からすれば、煩雑なループ現象に惑わされることなく、アルファたちは、きわめて合理的に敵を倒している「だけ」ように見えるでしょう。オメガの号令により、ギタイたちが限られた時間分遡航するという形です。

アルファ体の血を浴びたトムは、その力を移植され、死というキーによって短時間遡航します。トムは意識を持つところがギタイ族と違います。
この世界には「ループの主導権」があり、トムが自らの死によって遡航を行える間、ループを起こすキーをトムが持つことになるようです。そう考えないと敵を倒した事実が固定されず、そもそも話が成り立ちません。ある範囲の中、ループの主導権は一つの主観にしか与えられず、バトンのように引き継がれるというのがこの物語世界の自然法則のようです。 前提1(ここ、重要)


もう一つ確認しておきたいのは、トムとオメガのリセット能力とは、1.時間遡行なのか? 2.一定時間前の並行世界への移動なのか? です。残念ながらこの映画では二つの設定はごっちゃになっているようにしか見えません。トムが能力を得たばかりの展開部で、トムが戦車の下に飛び込み(無残につぶされる)と、それを見ていた上官の「何というアホだ」という声が入ります(1h16min)。これはトムが死んだ後の世界があるということで、並行世界移動ということになります。

ところが、無数のアルファをオメガがいっせいに一定過去へとリセットさせるというのはまだいいとしても(良くないかも知れないけれど)、それぞれがあまた別の並行世界へ移動するというのは、どう考えたらいいのか? 主観は?事実はどうなるのか? 行為の目的が成り立つのか? 

というわけで、きわめて肝心な設定がごっちゃになっているということです。それならばこの映画について考えるとき、多少自由に考えてもいいでしょう。
以上が、事前の確認であります。

(主人公はケイジですが、僕の書きやすさのため、トムと呼びました)

ネタバレ!映画「オール・ユー・ニード・イズ・キル」の矛盾点に対する勝手な考察。その2。

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