道楽人日乗

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小説「その犬の歩むところ」

2017-07-12 18:22:11 | 読書感想

ボストン テラン著

孤独な女性の元に現れた老犬は、彼女を癒やし、死ぬ。仔犬は成長し、様々な人々と出会う。911、戦争、ハリケーン。哀しみ苦しむ人々に彼は寄り添った。その犬の名はギヴ。

小説としての体裁はとっているが、一読した印象は、人と犬の絆をうたいあげた長編詩のよう。

原題が、GIV The Story of a Dog and Americaであることからも想像できるが、
お話は、傷ついたアメリカの市井の人々を励まし、アメリカ魂を鼓舞するような感じがあり、それがストレートでちょっと馴染めず。僕は犬を飼ったこともないのだ。
元海兵隊員ディーンは、傷ついたギヴと出会い、救われる。彼はギヴのたどってきた時をさかのぼる旅をして、その手記をしたためる。それがこの本なのだが、ちょっと独特な構成になっている。(まるで神の視点のようなところもある)

「その犬の歩むところ」という邦題は、その人=キリストを連想させる。いい邦題だなと思う。
お話には、カインとアベルを連想するようなところもあったし。
女性に対する描写に辛辣なところがあり、女性作家なのかしら?と思って読んでいた。女性作家説は後書きにも書かれていた。

この作家は初めて読んだが「詩のような」地の文の表現は他の作品も共通しているのだそうだ。日本でも評判になった「神は銃弾」はさらに強烈だとのこと。

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