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■佐藤潤子展 (2015年11月5日~10日、札幌)

2015年11月16日 01時01分01秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 
 後志管内岩内町出身、札幌在住の佐藤潤子さん、ひさしぶりの個展。
 間違いなく、佐藤さんのキャリアでも特筆すべき、力の入った個展になったし、これだけの水準の抽象画の新作を並べられる人が、ほかに道内にそうそういるわけでもない。
 しかも作者はわずか5カ月で、冒頭画像の「風の棲」の連作など、この会場に並んだ作品の大半を仕上げたというから驚かざるを得ない。
 「一気に吐き出しました。車庫で描いたんですよ」
と言うが、大変なエネルギーである。

 佐藤さんの絵は、絵の具をぶちまけているという点では書の墨象に似ている。
 ただ、単に絵の具をまいているのではなく、重なり方などはよく考えられていて、いったん絵の中に入り込むと、視線がとらえられてなかなか出てこられない特徴がある。
 下に向いたと思える色の流れを追っていると、反対側で上へと上り、ふたたび先ほどの流れに立ち戻っている。心地よい迷宮のようだ。




 こちらは「風の印 I」(S80)、「風詩 I」(F50)、「風の印 II」(S80)で、やや基調を異にする作品。
 ダイナミックさが影を潜め、どちらかというと、同系色が沈潜して美しさを表しているように見える。

 反対側の壁に並んだ「風を感じて」は、2012~15年の道展出品作。
 いずれも縦位置で、波しぶきを思わせる鮮烈な画面だ。

 会場のショーウインドーには「風の唄 I」「風の唄 II」。

 ほかに「風をあつめて」のI、II、「風を掴む」のI、II。
 50号未満の作品は一つもなかった。

 こんなテキストが会場に貼ってあった。

無意識の中に儚く揺れ惑う風を
一瞬のうちに見えては消え去るかたちを
自然の変遷に留まることを知らないところを描きとめたい
風の中へ 風とひとつになり 掴まえに行く
見ることで見えない私の風を描く


 とにかく、気合の感じられる個展だった。

 佐藤さんは1957年生まれ。
 79年、道展に初入選し、96年に会員。
 98年、2001年、04年、07年にスカイホールで個展(それぞれ、下のリンク先を参照してください)。


2015年11月5日(木)~10日(火)午前10時~午後7時(最終日~午後5時)
道新ぎゃらりー(札幌市中央区大通西3 北海道新聞社北一条館道新プラザ)

Color's 5 色彩からの絵画性-女性5人展 (2013)※画像なし

佐藤潤子個展(2007年)
佐藤潤子個展 (2004年)
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佐藤潤子個展(2001年)


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