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■杣田美野里『礼文短歌 蕊』 刊行記念写真展 (2018年2月17~22日、札幌)

2018年02月21日 21時34分08秒 | つれづれ読書録
 日本の北の端にある礼文島に住む写真家、杣田美野里そまだみのりさんが、自ら詠んだ短歌を、花や風景の写真に添えた『礼文短歌 しべ』を北海道新聞社から出した(本体1500円、税込み1620円)。
 それを記念した写真展が、紀伊國屋書店札幌本店2階で開かれている。

 本はサービス版写真のような小ささの、横長のポケットサイズ。
 基本的に、右ページに短歌が1首、左ページに写真が1点掲載されている。写真は裁ち切りで、レイアウト上当然だがすべて横位置だ。
 ところどころに、レブンアツモリソウやエゾノハクサンイチゲの説明など、文章が添えられている。

 筆者はまず写真展を見て、その後で写真集を買い求めた。
 写真展の会場で最も印象に残ったのは、トラノオやツリガネニンジンなど、夏から秋にかけて咲く花の写真の、独特の色調だった。
 おそらく、北緯45度という緯度の高さが影響しているのだろう、光の調子がわずかに赤みを帯びているように見えるのだ。
 南のほうで撮った写真は、海も花ももっとくっきりと、それぞれの色が明確に写る。
 それに対し、北のほうで撮影した写真は、薄い青と、淡いオレンジや黄色が、同一の画面の中で微妙に混じり合うような感じがするのである。

 そのなんともいえない北国らしい色合いが懐かしかった。



 写真展も本も終盤、トーンが変わる。
 札幌の空の写真や、雪の団地を見下ろした写真などが登場してくるのである。
 本では、著者が幼い頃のモノクロ写真が突然出てきて、そこから内容が一変する。

 くわしい事実関係は会場ではわからないが、本を開いた限りでは、2016年暮れから17年はじめにかけて、がんの検査や手術のため札幌の病院に入院していたようだ。 

 短歌はこのあたりの作が、読者に迫ってくるように感じられる。

<冬至まで日に日に午後は哀の色グラスに半分赤をください>



 杣田さんは1955年生まれで、92年から礼文に住んでいるというから、亡くなるにはいくらなんでもまだ早い。
 入院を機に、命について考えを巡らすことが多くなったということなのだろうか。

 花々は毎年おなじように開いて、命をつないでいく。
 人は毎年ひとつずつ年をとっていく。
 そのことを認識することで、深みをましていく写真を前に、こちらもいろいろと思いを巡らしてしまう。そんな展示と、小さな一冊だ。


2018年2月17日(土)~22日(木)午前10時~午後7時(最終日~5時)
紀伊國屋書店札幌本店2階ギャラリー (札幌市中央区北5西5 sapporo55)

□「島風に花と」杣田美野里のふぉと短歌 礼文島より https://hananosima.exblog.jp/

杣田美野里写真展 (2007、画像なし)



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