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北3条広場と、島袋道浩「一石を投じる」

2014年07月28日 23時59分06秒 | 札幌国際芸術祭
 地下鉄南北線のさっぽろ駅の、南側の改札口を出て北3条通まで南下すると、道庁赤れんが前に続く北3条広場に着いた。
 工事が終わって、初めて見た。

 道庁の敷地が北2条通から北4条通にわたっているため、北3条通は道庁前の西5丁目で行き止まりになっている。
 その行き止まりの手前1ブロック分を、車の行き来を止めて、歩行者専用の道路にしたのが「北3条広場」。ここは、札幌で初めて舗装された道路としても知られている。もちろん、昔のことで、アスファルトなどはなかったから、れんがを地面に敷き詰めたのだという。
 今度の整備で、地面一面にれんがが敷かれているのは、その史実を踏まえているのだろう。

 札幌の道路では、札幌駅から大通、すすきのに続く駅前通(西4丁目通)や、北海道神宮や小樽に通じる北1条通(旧国道5号)も、歴史的に重要だが、道庁の正門につながる北3条通も負けず劣らず大きな存在感を有しているのだ。
 ちなみに、北3条通は、道庁の反対側に行くと、サッポロファクトリー(旧サッポロビール工場)の北側を通り、苗穂駅に至る。西4丁目から苗穂駅にかけては、1970年代初頭に廃止されるまで路面電車も走っていた。

 そういう場所を、ベルリンを拠点に国際的に活躍する島袋 しまぶく 道浩さんが、石の置き場所として選んだのは、間違っていないと思う。
 大きな石をひとつ置くだけで、行政組織を中心部とした札幌の街路に、微妙な異化効果を及ぼすのだ。
 まさに「一石を投じ」ているといっていい。

 彼は公式ガイドで

「明治維新以降に整備された札幌は、すごく直線的で人工的な街です。そこに、直線的ではなく、ぐにょぐにょした有機的なもの、自然的なものを持ち込んでみたいと思ったのです」

と語っている。
 それを読んで、筆者は、次のくだりを思い出した。 

札幌の街は広く、うんざりするほど直線的だった。僕はそれまで直線だけで構成された街を歩きまわることがどれほど人を磨耗させていくか知らなかったのだ。
 

 村上春樹「羊をめぐる冒険」(講談社文庫版、下巻30ページ)の一節だ。

 ただ、言えるのは、ほとんど直線だけで構成された街で、ふいに曲線に出会うと、なんだかそれだけでとてもうれしくなってしまう、ということだ。
 最近リノベーションされた鴨々堂附近の、鴨々川沿いの道もそうだし、伏古川に並行してできた丘珠街道もそうだ。森彦本店あたりの道も同様だ。
 ついでにいえば、札幌の街に乏しいもうひとつの要素は「起伏」だが、これについても、旭ケ丘や西岡などに行くと、妙にうきうきしてしまうのだ。

 書いていくうちに、札幌の街の人工的要素に風穴を開けている大きな要素が「川」であることに、いやでも気づかざるを得ない。
 札幌国際芸術祭に招かれた少なからぬアーティストが着目したのも、そこなのだろう。


http://www.shimabuku.net/

島袋道浩展 美術の星の人へ (2009)

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