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■原井憲二展「光の壁ー北の肖像ー」 (2019年2月9~24日、札幌)

2019年02月23日 17時07分08秒 | 展覧会の紹介-現代美術
 東京藝大で学び、いまは北海学園大(札幌)で教鞭を執る原井さん。
 東京のギャラリーで作品を発表したり、サパティカルでフランスに赴いて滞在制作・発表を行ったりしていたが、道内での発表となると2011年の「樽前Arty」以来8年ぶり、札幌では実に12年ぶりとなる。
 今回の「水玉模様の光」シリーズは、黒いアルシュ紙に、革細工などで用いる道具30種類を駆使して円形の穴をたくさんあけ、その大小で絵柄を見せるというもの。
 昔の新聞などで見られた網目写真と同じ原理ーといえば、分かる人もいるだろう。
 黒い紙は、壁から少し離しているので、見る位置を移動させるにつれて見た目が微妙に変わる。壁に、黒い穴を通した光の模様が写っているのが、手前の紙とは少し異なる速度でずれていくからだ。
 これは、スチル画像では絶対に分からないので、現物を見たほうがいいと思う。



 今回のシリーズは、オプアートみたいな見え方であるし、使われているイメージが
「キタキツネ」
「ヒグマ」
「シマフクロウ」
「タンチョウ」
「エゾリス」
「ホルスタイン」
「アイヌ犬」
「エゾシカ」
とキャッチーなので、さらっと見てしまう向きもあるかもしれない。
(1枚だけ北海道とあまり関係なく、フェルメールに題材を得た「北の肖像」が展示されて、案内はがきに使われている)

 しかし、作者に「これは絵画ですか? 立体ですか?」と尋ねる人がけっこういるということは、これらの作品が、そういうことを考える契機になっているということの証左だと思う。
 ちなみに、作者は「インスタレーションです」と答えているそうだ。
 設置する場所によって見え方がまったく変わる(たとえば空中につるしてみたらどうなるだろう)のだから、たぶんこの答えは正しいのだろう。

 フォンタナがキャンバスに切り裂いた痕を入れた作品を発表したのは、単に面白がっているのではなくて、平面とか絵画とかがそもそも寄って立つ前提とは何かを問うているのだ。
 これらの作品も同じだろう。



 窓には「水玉模様の光ーエゾ富士」という114.5×250センチの大作が貼られている。
 これは昼間にギャラリーの外側から見たときの画像だが、夜は黒白が反転するという。
 もちろん、内側から見ると印象が変わる(ただし、写真に撮ると、外の景色がたくさん写り込んでしまうので、実見した場合の印象も違う)。

 そもそもこれらの作品では、顔料などはいっさい使われていない。
 存在するのは光のたわむれだけなのだ。
 なのに、わたしたちの網膜にイメージの像が結ばれるというのは、いったいどういうことなのだろう。

 親しみやすい題材なのに、見る側に投げかけている問いは、案外大きなものなのではないだろうか。


2019年2月9日(土)~24日(日)午前11時~午後6時、火曜休み
GALLERY 創(札幌市中央区南9西6)

関連記事へのリンク
記憶の循環 (2011、画像なし)
原井憲二展「蒼の洞窟」(2007)




・市電「山鼻9条」から約110メートル、徒歩2分

・地下鉄南北線「中島公園駅」1番出口から約380メートル、徒歩5分

・ジェイ・アール北海道バス「循環啓55」「循環啓55」「循環啓65」「循環啓66」で、「南9条西7丁目」降車、約210メートル、徒歩3分
(ギャラリー門馬近くの「旭丘高校前」から「循環啓55」で直行できます)

・じょうてつバス「南9条西11丁目」から約750メートル、徒歩10分。(快速7、快速8は通過します)

・中央バス、ジェイ・アール北海道バス「中島公園入口」から約650メートル、徒歩8分

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