ギャラリー犬養の全室を使った7組による展覧会で、入って右手の和室では毎日午後3時と7時からの2度(土日は午後3、5、7時からの3度)、展示と同じ顔ぶれによる自主映画の上映もあるという、ボリューム感ある催し。
もっとも、出品作家の一組で、主宰でもあるユニット ReguRegu によると
「映像の締め切りと展示の搬入を同じ日にしてしまったため、出品者はえらい目にあった」
とのことで、最初の上映日に完パケになった人が3人もいたという。
映像は合計70分。
松本ナオヤ「FLICKER, FLICKER」
田中咲「愛幼家」
犬養康太「ポカリのように」
斉藤幹男「郵便配達ものがたり」
飴屋晶貴「勅使河原UFO」
Amejika「雨の庭」
ReguRegu「いちばんのり」
松本さんの作品は「勝手にしやがれ」などから連綿と続く無軌道な青年映画をモノクロで、半分アニメ、半分実写にしたような感じ。上映空間は和室だし、なんだかメゾパンで「爆BACK」を見ているような錯覚に陥った(←誰にも通じないな、これ)。
犬養さんのは一種のミュージックビデオのオムニバス。「飽きっぽい天才」という彼の素質がよく出ているというか、どうしたらこういう発想ができるのか不思議としか言いようがない独特の感覚。
飴屋さんはモノクロ。友人がUFO体験談を語るのをテキトーに撮った実写部分と、合成などを駆使して空飛ぶ円盤が地球を侵略する作りこんだ部分とが混在している珍品。
出だしは水着の女の子がいっぱい登場して「勅使河原UFO!」と叫ぶのだが、このまま続けてほしかった(笑)。
ReguReguさんのは、いつものとおり、恐ろしく手間ひまのかかった人形アニメで、いわばReguRegu版「チキチキマシン猛レース」。
フェルト人形の多くは、これまでの「人造人間ホーンファミリー」などに登場した動物や人間の再登場で、それらにあわせて車を作ったため、家中が車に占拠されたようになって撮影は大変だったとのこと。
レースの最後は、後続車の通行を、画びょうをまいて妨害しようとした車が直前でゴールできなくなり、「やはり悪は滅びる」という展開。
筆者は、海に沈む夕日を、各車がちょっと止まって見ているという場面が好きでした。
なお、入場料は1000円で、DVDがもれなくもらえます(上映作品とは別内容)。
2階は、7組の展示。
飴屋さんの鉛筆画はとにかく精緻で、見ていると、おどろおどろしい世界に引き込まれそう。
「木馬は廻る」「予知夢」「一族と探偵」「アタマ祈禱書」「ユメノキューサク」「粘膜ニンジン」「魚屋の娘」
田中さんは「貧乏子だくさんシリーズ」の2点で、左が「お風呂場の風景」、右が「おでこに梅干しの風景」。
もう1点、「お別れの時間」という絵も展示してあった。
田中さんは最近「昭和」にハマっているそう。
場所がタイルばりの浴室で、描かれている人の輪郭線と陰影が強調されているので、画像だけを見れば河原温の初期作品を思い出す人もいるかもしれない。ああいう「無音の惨劇」とは異なるテイストだが、作者が無理やり「家庭の幸福」をこしらえあげようとしているその切なさみたいなものは、画面のどこかにひそんでいるような気がしてならない。
会場の中央に君臨するReguReguさん「聖者が街にやって来る」。
シカの角が足に、蛇のはく製が尾になっており、よく見るとかなり不気味。
「蛇はおばあちゃんの形見なんです」
とのことだが…。
上の方でツノドリがくわえている横断幕には、映像作品でもおなじみの架空文字が書かれている。
「ウソ文字書くのは得意で、どんどん書けちゃうんです」
って、かなり特殊な能力(笑)。
なお、ReguReguさんのコラージュ「三つの顔」も、押し入れに展示してあった。
田中さんとReguReguさんの間には、Amejikaさんの「いくつかの」と題したカラー写真が10点。子供の顔を別にすれば、花、水など、映像作品と共通する何気ない世界。
なんとなくフィルムっぽい発色だと感じる。
右手には斉藤幹男さんの立体「音楽隊のロバ」とドローイング。
さらに、松本ナオヤさんの油彩「LET'S MAKE THIS MOMENT」、犬養さんのドローイング8点も(題はついていない)。
1階のピアノ部屋では、昨年の「ホーンファミリーの世界」にも登場したReguRegu作の人形が、いすにすわってくつろいでいた。
2017年12月20日(水)~30日(土)午後1時~10時半、火曜休み
ギャラリー犬養(札幌市豊平区豊平3の1)
□ReguRegu日記 http://koiso.blog68.fc2.com/
■ReguRegu Exhibition #6 人造人間ホーンファミリーの世界 (2016)
■ReguRegu マンドレイクの為の泡のような狂詩曲(2015)
■ぷうちゃんマーチ ReguRegu / 飴屋吉丸 (2014)
□Naoya Matsumoto http://cargocollective.com/naoyamatsumoto
■松本ナオヤ個展 ONE MORE CASE (2017年3月)
■第46回道都大学中島ゼミ展「版と型をめぐって」(2009)
■道都大学中島ゼミ 版's SEVEN (2008)
■500m美術館 (2008)
□田中咲さんツイッター @me_rry__
■第56回道都大学中島ゼミ展 版と型をめぐって 5つの個展と11人の冒険 (2016)
■田中咲個展「お部屋」 (2016)
■田中咲個展「いる」 (2015)
■札幌国際芸術祭2017 ゲストハウス×ギャラリープロジェクト Sapporo ARTrip「アートは旅の入り口」
■斉藤幹男展 (2013)
■斉藤幹男 Stripes too Stripes (2010)
□飴屋さんのツイッター @akitaka_ameya
■ぷうちゃんマーチ ReguRegu / 飴屋吉丸 (2014)
■森で出くわしたくないもの展 (2014)
■リレー版's展 犬養康太 (2009)
■道都大学中島ゼミ 版's SEVEN (2008)
■第44回道都大学中島ゼミ展 版と型をめぐって (2007)
・中央バス「豊平橋」から約200メートル、徒歩3分
・地下鉄東西線「菊水駅」2番出口から約720メートル、徒歩9分
・地下鉄東豊線「学園前駅」1番出口から約950メートル、徒歩12分
※トオン・カフェから約1.5キロ、徒歩20分
※市民ギャラリーから約990メートル、徒歩13分
もっとも、出品作家の一組で、主宰でもあるユニット ReguRegu によると
「映像の締め切りと展示の搬入を同じ日にしてしまったため、出品者はえらい目にあった」
とのことで、最初の上映日に完パケになった人が3人もいたという。
映像は合計70分。
松本ナオヤ「FLICKER, FLICKER」
田中咲「愛幼家」
犬養康太「ポカリのように」
斉藤幹男「郵便配達ものがたり」
飴屋晶貴「勅使河原UFO」
Amejika「雨の庭」
ReguRegu「いちばんのり」
松本さんの作品は「勝手にしやがれ」などから連綿と続く無軌道な青年映画をモノクロで、半分アニメ、半分実写にしたような感じ。上映空間は和室だし、なんだかメゾパンで「爆BACK」を見ているような錯覚に陥った(←誰にも通じないな、これ)。
犬養さんのは一種のミュージックビデオのオムニバス。「飽きっぽい天才」という彼の素質がよく出ているというか、どうしたらこういう発想ができるのか不思議としか言いようがない独特の感覚。
飴屋さんはモノクロ。友人がUFO体験談を語るのをテキトーに撮った実写部分と、合成などを駆使して空飛ぶ円盤が地球を侵略する作りこんだ部分とが混在している珍品。
出だしは水着の女の子がいっぱい登場して「勅使河原UFO!」と叫ぶのだが、このまま続けてほしかった(笑)。
ReguReguさんのは、いつものとおり、恐ろしく手間ひまのかかった人形アニメで、いわばReguRegu版「チキチキマシン猛レース」。
フェルト人形の多くは、これまでの「人造人間ホーンファミリー」などに登場した動物や人間の再登場で、それらにあわせて車を作ったため、家中が車に占拠されたようになって撮影は大変だったとのこと。
レースの最後は、後続車の通行を、画びょうをまいて妨害しようとした車が直前でゴールできなくなり、「やはり悪は滅びる」という展開。
筆者は、海に沈む夕日を、各車がちょっと止まって見ているという場面が好きでした。
なお、入場料は1000円で、DVDがもれなくもらえます(上映作品とは別内容)。
2階は、7組の展示。
飴屋さんの鉛筆画はとにかく精緻で、見ていると、おどろおどろしい世界に引き込まれそう。
「木馬は廻る」「予知夢」「一族と探偵」「アタマ祈禱書」「ユメノキューサク」「粘膜ニンジン」「魚屋の娘」
田中さんは「貧乏子だくさんシリーズ」の2点で、左が「お風呂場の風景」、右が「おでこに梅干しの風景」。
もう1点、「お別れの時間」という絵も展示してあった。
田中さんは最近「昭和」にハマっているそう。
場所がタイルばりの浴室で、描かれている人の輪郭線と陰影が強調されているので、画像だけを見れば河原温の初期作品を思い出す人もいるかもしれない。ああいう「無音の惨劇」とは異なるテイストだが、作者が無理やり「家庭の幸福」をこしらえあげようとしているその切なさみたいなものは、画面のどこかにひそんでいるような気がしてならない。
会場の中央に君臨するReguReguさん「聖者が街にやって来る」。
シカの角が足に、蛇のはく製が尾になっており、よく見るとかなり不気味。
「蛇はおばあちゃんの形見なんです」
とのことだが…。
上の方でツノドリがくわえている横断幕には、映像作品でもおなじみの架空文字が書かれている。
「ウソ文字書くのは得意で、どんどん書けちゃうんです」
って、かなり特殊な能力(笑)。
なお、ReguReguさんのコラージュ「三つの顔」も、押し入れに展示してあった。
田中さんとReguReguさんの間には、Amejikaさんの「いくつかの」と題したカラー写真が10点。子供の顔を別にすれば、花、水など、映像作品と共通する何気ない世界。
なんとなくフィルムっぽい発色だと感じる。
右手には斉藤幹男さんの立体「音楽隊のロバ」とドローイング。
さらに、松本ナオヤさんの油彩「LET'S MAKE THIS MOMENT」、犬養さんのドローイング8点も(題はついていない)。
1階のピアノ部屋では、昨年の「ホーンファミリーの世界」にも登場したReguRegu作の人形が、いすにすわってくつろいでいた。
2017年12月20日(水)~30日(土)午後1時~10時半、火曜休み
ギャラリー犬養(札幌市豊平区豊平3の1)
□ReguRegu日記 http://koiso.blog68.fc2.com/
■ReguRegu Exhibition #6 人造人間ホーンファミリーの世界 (2016)
■ReguRegu マンドレイクの為の泡のような狂詩曲(2015)
■ぷうちゃんマーチ ReguRegu / 飴屋吉丸 (2014)
□Naoya Matsumoto http://cargocollective.com/naoyamatsumoto
■松本ナオヤ個展 ONE MORE CASE (2017年3月)
■第46回道都大学中島ゼミ展「版と型をめぐって」(2009)
■道都大学中島ゼミ 版's SEVEN (2008)
■500m美術館 (2008)
□田中咲さんツイッター @me_rry__
■第56回道都大学中島ゼミ展 版と型をめぐって 5つの個展と11人の冒険 (2016)
■田中咲個展「お部屋」 (2016)
■田中咲個展「いる」 (2015)
■札幌国際芸術祭2017 ゲストハウス×ギャラリープロジェクト Sapporo ARTrip「アートは旅の入り口」
■斉藤幹男展 (2013)
■斉藤幹男 Stripes too Stripes (2010)
□飴屋さんのツイッター @akitaka_ameya
■ぷうちゃんマーチ ReguRegu / 飴屋吉丸 (2014)
■森で出くわしたくないもの展 (2014)
■リレー版's展 犬養康太 (2009)
■道都大学中島ゼミ 版's SEVEN (2008)
■第44回道都大学中島ゼミ展 版と型をめぐって (2007)
・中央バス「豊平橋」から約200メートル、徒歩3分
・地下鉄東西線「菊水駅」2番出口から約720メートル、徒歩9分
・地下鉄東豊線「学園前駅」1番出口から約950メートル、徒歩12分
※トオン・カフェから約1.5キロ、徒歩20分
※市民ギャラリーから約990メートル、徒歩13分