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■松井多惠子個展 (5月1日まで)

2007年04月29日 21時12分22秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 小品はなく、100号以上の油彩10点のみで構成した個展。

 松井さんの絵には、かならずといっていいほど、白っぽい透明の直方体が描かれています。
 これは、病理診断標本というもので、患者の病変した組織や細胞を標本にしたものです。これを薄くスライスして色を着け、医師が顕微鏡でのぞいて診断を下すのです。
 松井さんは約40年、札幌医大で技師として働き、この標本づくりが大好きな仕事だったそうです。
 作品には、医学の現場に携わってきた松井さんの経験が反映しているのです。

              
 10点のうち9点が「サイエンス考」のシリーズで、これは「サイエンス考(2006-1)」です。
 ダイナマイトがつながっているようなものは、遺伝子のイメージ。
 ほかにも、試験管やグラフなど、理系や自然科学のイメージが画面にちりばめられています。
 「(科学にふれていると)人間ってほんとうに偉大だと思うし、その好奇心と興味と執着心はすばらしい」
と松井さん。
 科学のイメージは、人類の進歩に対する大いなる肯定なのです。
 会場入り口に掲げられた「サイエンス考(火星)」は、宇宙科学への讃歌でしょうか。

              
 これは「サイエンス考(2006-3)」。

 もともと、画中に登場する裸婦は、キュビスムふうの処理がなされていましたが、近作はその傾向がますます強まっています。
 背景も、矩形を連ねたキュビスムふうの意匠になってきました。

 以前の作品でよく見られた遠景の風景も、ほとんど見られなくなっています。
 今後さらに抽象化の傾向を強めるのでしょうか?

 出品作はつぎのとおり。
「サイエンス考(火星)」
「サイエンス考(2004)」
「サイエンス考(華)」
「サイエンス考(2006-2)」
「サイエンス考(2006-1)」
「サイエンス考(2007-1)」
「サイエンス考(2007-2)」
「サイエンス考(2007-3)」
「サイエンス考(室内)」
「億万年考」

 松井さんは札幌在住。二紀会同人、全道展会友。


4月26日(木)-5月1日(火)10:00-18:00(最終日-17:00)
大同ギャラリー(中央区北3西3、大同生命ビル3階 地図A

01年の個展(画像なし)


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