
今回の山下康一さんの個展については、画像を見てもらえれば分かるし、実際に会場に足を運んでいただければ、もっとよく伝わると思う。
筆者がとくになにか付け加えることはあまりない。
そこにあるのは、水彩で丹念に描いた北海道の風景画25点ほどだ。
(山下さんがアトリエを構える長野県の白馬や大町なども5点ある)
利尻岳や知床などを描いた絵もある。
しかし、多くは、何気ない、どこにでもありそうな風景である。

いちばん左は「雪の丘」。
ほかに「原野の川」「防風林」「残光」「荒波」「残雪」などと題された作品が並ぶ。
これこそが、北海道だと思う。
列車やバスの窓から、ふいに眺めたとき、道内であれば、ごくありふれたといえそうな景色である。
(札幌に引きこもっている人には分からないだろうが)
しかし、その平凡さが、わたしたち道産子にとっては、ひたすらに懐かしさを感じさせるのだ。
「樹」は、雪原にぽつんと立つ木の絵だ。
「原野の川」は、緑の中をとうとうと流れる川を描いている。
人影はなく、建物も描写されていない。
筆者は「無名(アノニマス)」ということについて考える。
とりたてて特徴のない土地。
名前のないような、場所。
写真でいうと、酒井広司さんがよく撮っているような、そんな風景。
しかし、固有名を持たないからこそ、普遍的な輝きを帯びた風景。
それこそが、わたしたちの帰っていく場所なのだろうと思う。
付け加えることはない、と言いつつ、冗語を連ねてしまった。すみません。
ただの写実的な風景画なのに、何が魅力的なのだろうと考えた結果です。
なお、山下さんは、上川管内音威子府村のビッキアトリエ3モアでも、絵画展を開催中です。
2015年9月21日(月)~26日(土)午前10:30~午後6:00(初日11:30~、最終日~3:00)
ギャラリー粋ふよう(東区北25東1)
□絵と旅 http://etotabi.exblog.jp/
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・中央バス「北26条東1丁目」から約170メートル、徒歩3分(札幌ターミナル、北5西1などから「02屯田線 屯田6の12行き」「22 あいの里篠路線 あいの里4の1行き」「34 35 36 篠路駅前団地線 篠路10の4行き」「39 ひまわり団地線 あいの里4の1行き」に乗車
・中央バス「北24条西2丁目」から約500メートル、徒歩7分(札幌ターミナル、北5西1などから「09 新琴似線 中央バス自動車学校行き」「14 花川南団地線 石狩庁舎前行き」「16 花畔(ばんなぐろ)団地線 石狩庁舎前行き」に乗車。帰路(上り)は「北26条東1丁目」から乗れます
・中央バス「北24条東1丁目」から約500メートル、徒歩7分
(東営業所―東豊線「元町駅」―北24条駅を結ぶ「元町線」)
・地下鉄南北線「北24条」駅から約800メートル、徒歩10分
山下康一 風景画の世界展
=2015年9月12日(土)~27日(日)午前9:30~午後4:30(最終日~3時)、14・24日休み
砂澤ビッキ記念館ギャラリー(音威子府村)
・JR筬島駅から徒歩