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続き■小樽美術協会創立50周年記念/市立小樽美術館企画 小樽画壇の煌めき 描きつぐ伝統と発展ー描くを歩む。今も今までもこれからも。-(2018年6月5日~7月8日)

2018年06月14日 12時31分36秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
承前)

 長くなった前項で書き切れなかったことを二、三、補いたい。

 ひとつは、小樽運河のことである。

 いまでこそ小樽を代表する観光名所として、外国人を中心ににぎわう小樽運河だが、1980年代に埋め立て・道路建設の方針が打ち出され、市民を二分する大論争が巻き起こるまでは、観光地としてはまったく知られていなかった(なお、けっきょく幅を半分にして道路をつくり、整備した結果が現在である)。
 当時の小樽観光マップには、運河が掲載されていないものもある。

 筆者も1970年代に通りがかったことが一度ならずあるが、朽ちたはしけが沈みかけ、夏はヘドロが悪臭を放っていた。
「こんな前時代の遺物はつぶして、近代的にバイパス道路を通した方がいい」
という感想を抱く人がいるのは、まったく不自然ではなかった。

 だからといって市民から運河が完全に忘れ去られていたかというと、決してそうではないということを、今回の絵画展を見て気づいた。
 運河を題材にした絵を手がけた人が6人もいる。
 
 観光地ではなかったこともあって、埋め立て前の記録写真は意外と残っておらず、しかも大半はモノクロである。
 かつての小樽運河の様子をいきいきと再現している資料としても、絵画は貴重なのだ。


 2点目は、今回の企画と、同時に開催された小樽美術協会50周年記念展の、あいだの時期に同協会展に出品した作家がけっこういること。
 何人か挙げてみると

・森ヒロコ 市内に美術館もあった版画家
・菱川和子 大きな筆遣いの抽象画家。札幌時計台ギャラリーなどで個展
・工藤英雄 石などをリアルに描く画家。道展会友、現展会員。個展も開いた
鈴木吾郎 人物彫刻。近年はテラコッタで、軽快な少女像も手がける。元・道展と日彫展会員
・輪島進一 近年はバレリーナや音楽家をリアルに描くか、小樽在住時は市街の風景画を描いていた。独立美術と全道展の会員
・古屋五男 穏健な風景画家。道展会員。小樽市内に自宅を改装した「古屋ギャラリー」を開いていた
・三宅悟  東京藝大卒で、穏やかな色あいの人物画や風景画を描く
・小川智  明快な色彩で写実的に小樽と近傍の風景を描く。道展会友
・水谷のぼる 彫刻家。道内でのブロンズ鋳造の開拓者。人物彫刻など
・羽山雅愉 幻想味を帯びた小樽や釧路の街並みを描く。全道展会員

 水彩の青木美樹、鈴木儀市、三留市子、笹川誠吉、彫刻の水野智吉といった人もかつて出品していた。


 最後に、渋谷政雄さんが協会旗揚げ時に記した文章を読むと、小樽人が札幌に抱いていた対抗意識の強さがうかがえて興味深い。
 1920~30年代、北海道の経済を小樽がリードしていた全盛期のころを記憶している人が、渋谷さんや三浦鮮治をはじめまだ当時は、健在であった。

 協会発足の準備が進んでいた1960年代末ごろ、札幌市の人口は80万人台で、小樽市は約20万人だった。4倍程度の開きしかなかったのだ。
 いま、札幌市が195万人、小樽市が12万人であるから、札幌と経済力で互角に勝負しようという発想が小樽人にはもう存在しないだろう。


2018年6月5日(火)~7月8日(日)午前10時~午後5時(入場~4時半)、月曜休み
市立小樽美術館(色内1)
一般300(240)円、市内高齢者・高校生150(120)円、中学生以下無料。かっこ内は団体料金




・JR小樽駅から約710メートル、徒歩9分

・中央バス、ジェイアール北海道バスの都市間高速バス「高速おたる号」「高速ニセコ号」「高速いわない号」の「市役所通」から約700メートル、徒歩9分

【告知】小樽美術協会50周年記念展(2018年6月5~10日)と「小樽画壇の煌めき 描きつぐ伝統と発展」(6月5日~7月8日)
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