(承前)
松本浦さんはイラストレーター。
案内状はなんだか江戸川乱歩の少年向けシリーズの表紙みたいな、昭和っぽいおどろおどろしさを感じさせますが、会場にはおもに、ことしの正月(タイミングとしてぎりぎりセーフですね)に長崎に行った際の街角スケッチと、昨年から今年にかけて札幌で姿を消した建物を題材にした絵の2本立てといえそうな内容です。ほかにもいろいろありますが、その二つがメインといってさしつかえなさそうです。
で、イラストそれ自体はとくに突飛だったり風変わりだったりするわけではありませんが、題材になっている建物の数々が、個人的にはいささかショックだったので、この記事を書くわけです。
「えっ、この建物もないの?」
という驚きです。
松本さんが
「全体像をネットにアップするとそれで満足しちゃって会場に来ない人が多いから、アップするなら一部に」
とおっしゃるので、失われた建物のうち、松本さんがこの建物のためにシリーズを手がけたようなところがあるとまでいう
「石の蔵ぎゃらりぃ はやし」
を描いたイラストの一部のみを、冒頭画像にあげました。
この軟石でつくられた、味のある建物が、周辺の再開発のために取り壊されたことはさすがに知っていましたが、ほかにもあるはあるは…。
フジヤ時計店(北1西23)
第2三谷ビル
成田モーター商会(南7西9)
古城商店(小樽市色内1)
Realism (南5東3)
計良質店(南4東1)
佐藤商店(南10西7)
岸駐車場ビル(南1西5)
ゆりや食堂(南1西19)
丸北三和の軟石倉庫(豊平区豊平3の8)
原宿駅
大町交差点の文教堂と中道メガネ(室蘭市中央町)
いくつか補足しておきますと、第2三谷ビルは「フリースペース OYOYO」があった電車通りの古いビルで、2017年の札幌国際芸術祭の会場の一つにもなったので、よく知られているでしょう。
Realism は国道36号沿いの古物屋で、移転して「湊商店」にテナントとして入っていましたが、その建物が壊され、となりに再移転して営業を続けています。
佐藤商店は、電車通り山鼻線沿いにあった建物で、「新通市場」の入り口に店を構えていました。
かつて買い物客でにぎわった新通市場も、近年は営業している店が少ないです。
ゆりや食堂などが入っていた建物は南1条通り沿いにありました。
食堂は近くで営業を続行しているとのことです。
新陳代謝が都市の活力であるということは、アタマではわかっているのですが、しかし、こんなに次々と、良い建物が姿を消し、凡庸な高層住宅や駐車場などに置き換えられていくというのは、どうにも納得しかねる心情があります。
同様の意味合いで、上田純也さんのミニ展示(ふすまの模型、環状になったレールを走る電車の模型、写真アルバム3冊)も、なんともいえないノスタルジアというか、哀感を漂わせています。
なにげない札幌の街角のスナップなのですが、そこに写っている建物や情景の多くは、もうすでにないものが大半だからです。
札幌駅北口にあった名画座「蠍座」のさらに北側の角が空き地になっていて、なぜかトヨタクラウンが放置されていた風景とか、知っている人には刺さる写真だと思うし、この写真帖があれば、上田さんと1時間や2時間は語りあえる自信あるな~(笑)。
というわけで、誰でも楽しめる展示だと思うのですが、とくに街撮り関係者にはぜひ足を運んでいただきたいです。
2020年9月18日(金)~27日(日)正午~午後7時、会期中無休
シャトー・ル・レェーヴ307(中央区南1西15)
松本さんの過去記事へのリンク
■松本浦 図画工作展 昭和93年度路地裏画報 (2018)
上田さんの過去記事
■都市標本図鑑 (2017)
his life, her life, this life -まちの記憶と記録展- (2006。名前だけ)
関係あるかもしれない記事
古い木造の商店建築が姿を消した
石の蔵ぎゃらりぃはやし、2015年6~7月まで営業延長
シャトー・ル・レェーヴ space1-15(スペースイチイチゴ)への行き方 (アクセス)
・市電「西15丁目」から約170メートル、徒歩2分
・地下鉄東西線「西18丁目駅」から約220メートル、徒歩3分
・ジェイ・アール北海道バス、中央バス「道立近代美術館」から約500メートル、徒歩7分
・ジェイ・アール北海道バス「51 札幌駅前―啓明ターミナル」に乗り「大通西14丁目」降車、約160メートル、徒歩2分
・ジェイ・アール北海道バス「桑11 桑園駅―啓明ターミナル」に乗り「医大病院前」降車、約220メートル、徒歩3分
・ジェイ・アール北海道バス「53 札幌駅前か大通西4丁目―啓明ターミナル」に乗り「南3条西14丁目」降車、約470メートル、徒歩6分
松本浦さんはイラストレーター。
案内状はなんだか江戸川乱歩の少年向けシリーズの表紙みたいな、昭和っぽいおどろおどろしさを感じさせますが、会場にはおもに、ことしの正月(タイミングとしてぎりぎりセーフですね)に長崎に行った際の街角スケッチと、昨年から今年にかけて札幌で姿を消した建物を題材にした絵の2本立てといえそうな内容です。ほかにもいろいろありますが、その二つがメインといってさしつかえなさそうです。
で、イラストそれ自体はとくに突飛だったり風変わりだったりするわけではありませんが、題材になっている建物の数々が、個人的にはいささかショックだったので、この記事を書くわけです。
「えっ、この建物もないの?」
という驚きです。
松本さんが
「全体像をネットにアップするとそれで満足しちゃって会場に来ない人が多いから、アップするなら一部に」
とおっしゃるので、失われた建物のうち、松本さんがこの建物のためにシリーズを手がけたようなところがあるとまでいう
「石の蔵ぎゃらりぃ はやし」
を描いたイラストの一部のみを、冒頭画像にあげました。
この軟石でつくられた、味のある建物が、周辺の再開発のために取り壊されたことはさすがに知っていましたが、ほかにもあるはあるは…。
フジヤ時計店(北1西23)
第2三谷ビル
成田モーター商会(南7西9)
古城商店(小樽市色内1)
Realism (南5東3)
計良質店(南4東1)
佐藤商店(南10西7)
岸駐車場ビル(南1西5)
ゆりや食堂(南1西19)
丸北三和の軟石倉庫(豊平区豊平3の8)
原宿駅
大町交差点の文教堂と中道メガネ(室蘭市中央町)
いくつか補足しておきますと、第2三谷ビルは「フリースペース OYOYO」があった電車通りの古いビルで、2017年の札幌国際芸術祭の会場の一つにもなったので、よく知られているでしょう。
Realism は国道36号沿いの古物屋で、移転して「湊商店」にテナントとして入っていましたが、その建物が壊され、となりに再移転して営業を続けています。
佐藤商店は、電車通り山鼻線沿いにあった建物で、「新通市場」の入り口に店を構えていました。
かつて買い物客でにぎわった新通市場も、近年は営業している店が少ないです。
ゆりや食堂などが入っていた建物は南1条通り沿いにありました。
食堂は近くで営業を続行しているとのことです。
新陳代謝が都市の活力であるということは、アタマではわかっているのですが、しかし、こんなに次々と、良い建物が姿を消し、凡庸な高層住宅や駐車場などに置き換えられていくというのは、どうにも納得しかねる心情があります。
同様の意味合いで、上田純也さんのミニ展示(ふすまの模型、環状になったレールを走る電車の模型、写真アルバム3冊)も、なんともいえないノスタルジアというか、哀感を漂わせています。
なにげない札幌の街角のスナップなのですが、そこに写っている建物や情景の多くは、もうすでにないものが大半だからです。
札幌駅北口にあった名画座「蠍座」のさらに北側の角が空き地になっていて、なぜかトヨタクラウンが放置されていた風景とか、知っている人には刺さる写真だと思うし、この写真帖があれば、上田さんと1時間や2時間は語りあえる自信あるな~(笑)。
というわけで、誰でも楽しめる展示だと思うのですが、とくに街撮り関係者にはぜひ足を運んでいただきたいです。
2020年9月18日(金)~27日(日)正午~午後7時、会期中無休
シャトー・ル・レェーヴ307(中央区南1西15)
松本さんの過去記事へのリンク
■松本浦 図画工作展 昭和93年度路地裏画報 (2018)
上田さんの過去記事
■都市標本図鑑 (2017)
his life, her life, this life -まちの記憶と記録展- (2006。名前だけ)
関係あるかもしれない記事
古い木造の商店建築が姿を消した
石の蔵ぎゃらりぃはやし、2015年6~7月まで営業延長
シャトー・ル・レェーヴ space1-15(スペースイチイチゴ)への行き方 (アクセス)
・市電「西15丁目」から約170メートル、徒歩2分
・地下鉄東西線「西18丁目駅」から約220メートル、徒歩3分
・ジェイ・アール北海道バス、中央バス「道立近代美術館」から約500メートル、徒歩7分
・ジェイ・アール北海道バス「51 札幌駅前―啓明ターミナル」に乗り「大通西14丁目」降車、約160メートル、徒歩2分
・ジェイ・アール北海道バス「桑11 桑園駅―啓明ターミナル」に乗り「医大病院前」降車、約220メートル、徒歩3分
・ジェイ・アール北海道バス「53 札幌駅前か大通西4丁目―啓明ターミナル」に乗り「南3条西14丁目」降車、約470メートル、徒歩6分
(この項続く)