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第4回ノルテの作家展(11月5日まで)

2006年11月05日 06時06分47秒 | 展覧会の紹介-複数ジャンル
 ノルテは、教職員厚生会が中央区北1西6にひらいていたギャラリーでしたが、2003年1月かぎりで閉鎖となりました。この展覧会は、同ギャラリーに関係していた教職員と、昨年の北海道教職員美術展で特選になった教員の、計48人が出品しています。公募展の会員クラスも多く、見ごたえがありました。

 絵画では、以前は具象的な作品を描いていた人が、かなり抽象的な画風に近づいている例が目立ちました。今本哲夫さん、斎藤洪人さんなどです。斎藤さんの「ニセコの五月」は、奥のほうにあるのは針葉樹だと見当がつきますが、近景の肌色やオレンジの乱舞は、もう色彩そのものという感じです。
 朝日新聞の「朝日歌壇・俳壇」の挿絵を担当している江川博さんの「地と図」は、左右でちょうど半分にわかれたような抽象画。左半分は朱と黒、右半分は紫と黒で、ふたつの色のせめぎあいを表現しています。
 また、松信元一さんは、ちょっと難波田龍起を思わせる、深みのある抽象画を描きます。今回の「“あるひとに”」は、青紫と緑の濃淡のなかに、赤い矩形が出現し、画風に変化がみられます。
 種市誠次郎さん「ざるとかご」は、これまでと同様の作品ですが、具象で抽象画的な実験をくりかえているのだなとあらためて思いました。
 一方、北山寛一さん「春を待つ」は、以前の海岸沿いの草原とはうってかわって、色数をおさえた描写で、冬の終わりの自然を描いています。 

 彫刻。
 山下嘉昭さんは、とぎすまされたフォルムの抽象作品を作り続けています。今回のように、素材が木であることがはっきりわかる作品は、めずらしいと思います。
 千葉光弘さんは、彫刻というより金属の工作といった趣きの作品で、会場全体のトーンからはちょっと浮いた感じでした。おもしろいけど。

 工芸。
 教職員美術展や道美展で活躍中の魚住慈子さんが、新境地。金色をちりばめた独特の発色が目を引きます。

 書道。 
 漢字、かな、近代詩文、墨象とバラエティに富んでいます。
 さいきんはすっかり枯淡の境地に達している大ベテランの中野北溟さん(日展会員)が、ひさしぶりにパワフルな「蒼海の靄」を出品しています。もっとも、近作かどうかはわかりませんが。
 須田廣充さんの「土器」、松山朴羊さんの「舞」は、造形性にひかれました。
 鈴木隆さん「ヒュームの語」は、英国の哲学者のことば「知性は情念の奴隷である」を書いたものです。

 写真では、三原和廣さん「旅のスケッチ ニセコ」にスケール感がありました。
 全点、全紙のカラー作品です。

 出品作は次のとおり。
 絵画
浅野「天にいちばん近い国」60×90
今本哲夫「北の心象」80F
鵜沼人士「手紙」F100
江川博「地と図」P100
香取正人「冬の日」F80
北山寛一「春を待つ」F100
香西富士夫「会話=こ・ん」F100
斎藤洪人「ニセコの五月」P100
坂口清一「畊-イワオヌプリの印象’06」F130
佐藤吉五郎「高台からの風景」F100
鈴木秀明「予感」F100
種市誠次郎「ざるとかご」F100
松信元一「“あるひとに”」P80
山形弘枝「宙」F100
山崎亮「鎮魂(9.11)」F100

 彫刻
千葉光弘「メカ・サソリ」30×45×25
本田俊朗「小鳥」20×20×70
丸山恭子「叫ぶ声」45×45×130
山下嘉昭「譜-67」74×19×38

 工芸
魚住慈子「金風」37×37×42
金田隆史「過ぎゆく季節」41×41×32
冨所義之「'06秋日」40×40×51
中畑洋「流雲薄黒図」45×45×51
中村矢一「オホーツクの春」130×78
山本恒雄「春の息吹」35×43

 書道
石原北陽「闇を摑む」170×70
清兼孝生「土」40×55
佐々木信象「途」70×135
鈴木隆「ヒュームの語」70×70
須田廣充「土器」135×140
高橋祥雲「夢」135×69
出村陽子「夢」67×69
土井一剛「金塊和歌集抄」33×25
長澤正美「般若心経」164×70
中野層翠「良寛詩」70×135
中野北溟「蒼海の靄」70×135
羽毛蒼洲「風香」139×70
東志青邨「高村光太郎詩"道程"より」238×53
松山朴羊「舞」70×135
矢橋寿心「始」135×70

 写真
北山恒一郎「恥じらい」
高橋和幸「ベルグラ」
傳法喜代志「戦い終わって」
橋本博「港・ロープの"かたち"」
益満等之「青空へようこそ」
三原和廣「旅のスケッチ~ニセコ~」
武藤省吾「天空の輝」
森哲「秋彩」


10月31日-11月5日10:00-18:00(最終日-16:00)
ギャラリー大通美術館(中央区大通西5、大五ビル 地図B) 


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