ネット上にはその全貌は紹介されていないようだけど、関聨行事の数がものすごい。
一般の書展では、せいぜいギャラリートークや公開制作があるぐらいがふつうなのに、パンフレットには、中韓の書家も参加してのシンポジウム「北海道書道サミット」(3日)をはじめ、アコーディオンとのコラボレーション、「クラシックギターとソプラノ歌手による書のコラボレーション」(3日)、書道吟(5日)、講演など日程がびっしり。
最終日は、10時からギャラリートーク、11時から和太鼓と書のコラボレーション、13時から「次世代を担う席書会」、15時から「よさこい演舞と書のコラボレーション」などが目白押しだ。
筆者が会場に行ったときも、「民謡とのコラボレーション」の準備が、いちばん大きな展示室でおこなわれていた。ロビーには、短冊をさげたヨーヨーのコーナーがあって子どもが遊べるようになっていた。
まあ、よさこいはともかくとして、ここまで盛りだくさんの催しで、幅広い層の関心を集めよう-という意欲は、評価したいと思う。
「にぎやかさばかり、前に出ている。やはり作品で勝負すべきではないか」
というような意見は、筆者はとらない。
この催しのオンパレードは、高齢化と書道人口の減少という事態に直面している書道界の危機意識を、浮き彫りにしているといえるからだ。
ただし、せっかくのにぎやかな催しなのに、書道界以外へのPRは-というと、もうすこしがんばっても良かったかなとも思う。
さて、この書展で見逃せないのは「北海道書道資料館特別展示」と題した2階のコーナーだろう。
小原さんがこれほどの「お宝」をコレクションしているとは、おどろいた。
良寛、池大雅、市河米庵、日下部鳴鶴、尾上柴舟、郭沫若、比田井天来…。
金子旛(鴎)亭、松本春子など、北海道ゆかりの書家の作品も多い。
硯や拓本も多数ある。空海が唐に滞在時用いていた硯-という説明を読むと、正直なところ「ほんまかいな」という気がするけれど、高村光太郎の座右にあった硯など、貴重なものがならんでいる。
筆者が感服したのは、さいきん注目の集まっている榎本武揚の書だった。思い切りが良く、線にまよいがないと感じた。
ところで、この特別展示もふくめ、じつに1284点が出品されているという一門展にしてもいえることなのだが、「すこしでもたくさんの人の作品を展示してあげたい」という気持ちはわかるけれど、見る側からすれば、ちょっとすき間を詰めすぎだと感じる。
こんなことを書くと、きついかもしれないが、筆者が書の展覧会、とりわけ社中展と公募展にたいしていだいているイメージは
「関係者と家族親類が来て、後者は知り合いの作品だけ確認して帰っていく」
というものだ。
つまり、「見るのが好き」という人がそもそもほとんどおらず、じっくり鑑賞するという雰囲気にとぼしいのだ。
今回の「お蔵だし」は、小原さんの、道立函館美術館だけでなく札幌にも書を見られるところがほしい-という熱意のあらわれではないかと思う(確認してないけど)。
だったら、なおさら
「ふつうの人でも楽しめる展示」
についてくふうしてほしいと思うのだ。早い話、今回の特別展示にも、字釈がまったくない。
「やってる人以外は見に来ない」
という書の展覧会の現状を、どうにかして変えていければいいと思う。
08年7月2日(水)-6日(日)10:00-18:00
札幌市民ギャラリー(中央区南2東6 地図G)
一般の書展では、せいぜいギャラリートークや公開制作があるぐらいがふつうなのに、パンフレットには、中韓の書家も参加してのシンポジウム「北海道書道サミット」(3日)をはじめ、アコーディオンとのコラボレーション、「クラシックギターとソプラノ歌手による書のコラボレーション」(3日)、書道吟(5日)、講演など日程がびっしり。
最終日は、10時からギャラリートーク、11時から和太鼓と書のコラボレーション、13時から「次世代を担う席書会」、15時から「よさこい演舞と書のコラボレーション」などが目白押しだ。
筆者が会場に行ったときも、「民謡とのコラボレーション」の準備が、いちばん大きな展示室でおこなわれていた。ロビーには、短冊をさげたヨーヨーのコーナーがあって子どもが遊べるようになっていた。
まあ、よさこいはともかくとして、ここまで盛りだくさんの催しで、幅広い層の関心を集めよう-という意欲は、評価したいと思う。
「にぎやかさばかり、前に出ている。やはり作品で勝負すべきではないか」
というような意見は、筆者はとらない。
この催しのオンパレードは、高齢化と書道人口の減少という事態に直面している書道界の危機意識を、浮き彫りにしているといえるからだ。
ただし、せっかくのにぎやかな催しなのに、書道界以外へのPRは-というと、もうすこしがんばっても良かったかなとも思う。
さて、この書展で見逃せないのは「北海道書道資料館特別展示」と題した2階のコーナーだろう。
小原さんがこれほどの「お宝」をコレクションしているとは、おどろいた。
良寛、池大雅、市河米庵、日下部鳴鶴、尾上柴舟、郭沫若、比田井天来…。
金子旛(鴎)亭、松本春子など、北海道ゆかりの書家の作品も多い。
硯や拓本も多数ある。空海が唐に滞在時用いていた硯-という説明を読むと、正直なところ「ほんまかいな」という気がするけれど、高村光太郎の座右にあった硯など、貴重なものがならんでいる。
筆者が感服したのは、さいきん注目の集まっている榎本武揚の書だった。思い切りが良く、線にまよいがないと感じた。
ところで、この特別展示もふくめ、じつに1284点が出品されているという一門展にしてもいえることなのだが、「すこしでもたくさんの人の作品を展示してあげたい」という気持ちはわかるけれど、見る側からすれば、ちょっとすき間を詰めすぎだと感じる。
こんなことを書くと、きついかもしれないが、筆者が書の展覧会、とりわけ社中展と公募展にたいしていだいているイメージは
「関係者と家族親類が来て、後者は知り合いの作品だけ確認して帰っていく」
というものだ。
つまり、「見るのが好き」という人がそもそもほとんどおらず、じっくり鑑賞するという雰囲気にとぼしいのだ。
今回の「お蔵だし」は、小原さんの、道立函館美術館だけでなく札幌にも書を見られるところがほしい-という熱意のあらわれではないかと思う(確認してないけど)。
だったら、なおさら
「ふつうの人でも楽しめる展示」
についてくふうしてほしいと思うのだ。早い話、今回の特別展示にも、字釈がまったくない。
「やってる人以外は見に来ない」
という書の展覧会の現状を、どうにかして変えていければいいと思う。
08年7月2日(水)-6日(日)10:00-18:00
札幌市民ギャラリー(中央区南2東6 地図G)