北海道美術ネット別館

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■第31回日陽展 (4月26日まで)

2009年04月25日 12時56分30秒 | 展覧会の紹介-複数ジャンル
 団体公募展では作品が多すぎて疲れるが、教室展などでは物足りないという人にはぴったりの規模の展覧会-と、筆者はよく書いてきました。たしかに、ふらっと立ち寄って絵を見るにはおあつらえ向きといえそうですが、この何年かで道展会員が逝去するなどして、少しずつさびしくなっているのは否定できないと思います。

 今年は、第1展示室に油彩、第2展示室に水彩・日本画・工芸と、すっきりした構成になりました。ただ、工芸の出品は、七宝作家の能登誠之助さん(札幌)だけで、これもさびしさを感じさせます。能登さんの「古(いにしえ)への誘い」は、縄文土器を群青の背景に置いた美しい壁掛け作品です。

 油彩では、種市誠次郎さん(札幌)「浮遊(A)」「浮遊(B)」が、あいかわらずざるやステッキ、竹のものさし、コカコーラ缶などをふわふわ浮かべて画面を構成しています。テーブルのない静物画といったおもむきです。「浮遊(B)」に、気球がふたつ描かれているのがおもしろい。通常のスケール感覚をチャラにしているのです。

 藤井幸一郎さん(同)「パリ風景」
 セーヌ川の風景。藤井さんにしては色数は抑えめ。
 レモンイエローの空は奇抜ですが、下地に白、さらに赤などが重ねられ、独特の発色をしています。建物はバラ色に白をまぜているのでしょろうか。これもユニークな色です。

 阿部政毅さん(同)「秋の西岡水源地」
 ふつうの風景画ですが、とても現場の感覚があります。

 佐々木恒美さん(同)「港町(フランス)」
 丹念なタッチで、すき間なく建つ家々や、係留されたヨットを描写しています。水面に揺らぐヨットや家も丁寧に画かれています。

 杉本道昭さん(同)「通潤橋の春」
 昨年の「家路」はとても印象に残る作品でした。今回は、なんだか墨彩画のような色調。メーンとなる石積みの橋は黒々としています。

 濱田五郎さん(後志管内岩内町)「曙の発足岳」
 山も野も雪で覆われていますが、野から顔を出している草は青々と緑色をしています。遅い雪なのでしょうか。

 このほか、遊佐郁子さん(赤平)「静物」は、題に反して、窓際にすわる若者を描いているのが気になりました。

 水彩では、大藤淳子さん(札幌)「雨の情景」が、ぬれた舗道の感じをとてもよく表現しています。
 近藤武義さん(同)「晩秋」は、北海道ではありふれた、遠くに山を望む林の風景ですが、弱々しい日光が季節感をよく表現していると思います。

 小林伸さん(同)「田園風景(家族たち)」は、明るい色で表現された田園。40羽近いニワトリが餌をついばみ、牛や馬車、井戸などが描かれています。
 実際にある風景というより、ユートピアのように感じます。


 日陽展は、会場でくばる図録と、実際に展示されている作品とのあいだに食い違いがある場合があります。
 ことし、目録に載っていて会場になかったのが
・浅野妙子「長崎にて」「行く秋II」

 会場に展示されていて目録に記載されていないのが 
・畑中直樹「月寒高台」
・小林伸「湖畔の朝」
・近藤幸子「あそびましょ!」


2009年4月22日(水)-26日10:00-18:00(最終日-17:00)
札幌市民ギャラリー(中央区南2東6)


第30回記念日陽展
第28回
第26回(04年)
第25回(03年)
第24回(02年、4月8日の項)
第23回(01年)
 =以上画像なし




・地下鉄東西線「バスセンター」駅10番出口から徒歩4分
・ジェイアール北海道バス、中央バス、夕鉄バス「サッポロファクトリー」から徒歩7分(ジェイアールバスと中央バスは、札幌駅から現金のみ100円)
・中央バス「豊平橋」から徒歩9分(月寒、清田、平岡方面から来る人は、これもひとつの手)


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