バロックな話

バロック音楽/バッハとチェンバロ演奏、あるいは音楽のいびつな雑感

チェンバロ曲の可能性

2006年08月28日 | チェンバロ

 チェンバロは、ありとあらゆる(西洋)音律に手軽に調律することが出来る。ピアノも可能ではあるが、より専門的な技術が必要なので、素人がおいそれと調律するというわけには行かない。音律を簡単に、自由に設定できる楽器なんて、私が知っている限りでは、チェンバロにおいて他は無い。Vn族の弦楽器もフレットレスだから超絶技巧と地獄耳の持ち主なら不可能では無いかもしれないが。

 さて、この楽しいメリットを享受しないなんて、もったいない。私はC素人なので、あまり難しいことは考えずに音律と曲の組み合わせを楽しんでいる。日によって気分によって弾く音律を変えているのである。具体的には、今週はこの音律で、次週は別の音律でと週替え程度の周期で音律を替えて同じ曲を弾き回している感じである。

 音律が異なると、曲の雰囲気が微妙に変化して面白いのである。こんなことを専門家の方に聞かれたら、作曲家や作曲年代、調号などによってしかるべき音律があると叱責されてしまうかも知れない。(楽器も替えなきゃいけなくなる)とはいうものの、この曲は絶対にこの音律のために作曲されたなんてことは誰にも証明なんか出来ない昔のことだし。(証明できそうなのは、古くから残っている再現されたパイプオルガンの為の曲くらいかも知れない)

 ふと思ったのだが、いや、私が知らないだけかも知れないが、あまたある音律のなかから、例えばミーントーン音律を前提に書かれた現代音楽とかがあっても面白い世界が広がりそうな気がする。自分で作曲する力量など無いので、ただの戯言かも知れないが、ミーントーン音律の地に足が着いた古の音空間で、現代の新たなチェンバロ曲を聞いて見たいと思った。


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