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【読書】ラディカル・マーケット 脱・私有財産の世紀

2020-05-10 23:11:58 | 読書記録
富の集中、民主主義の機能不全、移民、ITプラットフォーマ農場、など
直面する社会課題に対して"ラディカル"=急進的("根"との掛詞でもある)な
提案を示す本書。

過去からの数多の思想を時に引用し時に批判し、今現在の状況を同定して
"市場"をキーに打開策を思考していく。

面白くもあり。
私には知識的な面で読むの辛いところもあり(単に経済学方面の勉強不足です…)。

私有財産制は配分効率が悪い。
なら、私有を減ずるような圧力となる制度を設定してはどう?市場の発想で。
共同所有自己申告税=COST。

主張したい論点とそうでもない論点が、どちらも一票ずつってどうなの?
票を売り買いできるようにしたら?ただし買いたい数が大きいほど高くつく。
二次の投票=QV。

あるいはこれら制度の他分野への応用。

分からなくはない。
数値の論証が軽い感じだけれど、おそらく書かれているようりも数段数十段緻密な
シミュレーションを行った結果であろうとも思うし。
ただ、幾重にも重なった仮説の先にやっと成功があることが想像されるので、
ポンと膝を打つには至らず。
(著者たちも、いきなり全体でなくまずは小さく試すのがよいと言っている)。

読んでいて気になったのは、
・価値の評価の多様性にどう対応するのか
・ゼロベースでなく、既に経済格差が生じている状態からスタートでも
 是正は効くのだろうか
などともやもやしながらも、最終章で、ああ、と少し分かった気がする。

これは、おおむね全てがデジタル化した世界・時代を想定して、
成立する可能性を論じているのだ。
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ラディカル・マーケット 脱・私有財産の世紀
エリック・A・ポズナー E・グレン・ワイル 著
東洋経済新報社 2019/12
https://str.toyokeizai.net/books/9784492315224/

(2020.5.10)


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