映画の後を追うかたちで手に取った。
SF以外の小説は久しぶりかもしれない。
SF以外の小説は久しぶりかもしれない。
「影裏」のほか、「廃屋の眺め」「陶片」の計3篇を収める。
「影裏」。
原作にきっちりと依拠している部分と、映画として肉付けされた部分と。
映画はバランスのよい塩梅だったなのだなと思う。
映画では割と痛みを見たけれど、漂泊やもったりとした倦み、
それを孕みながらも主人公が微妙に高いところから自身と世界を
眺めている感じを受け取った。
3篇それぞれ違うけれど、人物の共通項は。
透明感。
卑下しすぎるでなく自分を外から眺めるメタ認知が不思議に潔い。
そして、ゆえにある種の諦念も見えて、胸苦しい。
主人公たちの世代の人は上の世代に「わかった」と言われることは
好まないし信じないだろうな、などという考えが頭を過って、
少し寂しい感じもする。はは。
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https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163907284
文藝春秋 2017/03
沼田真佑 著
(2020.3.6)