ぐるぐる・ぶらぶら

歌舞伎と映画と美術と読書の感想

【映画】テリー・ギリアムのドン・キホーテ

2020-01-24 23:02:56 | 映画
ブラヴォー。
観終わって。拍手もあった劇場内。
帰りがけ、滅多には買わないプログラムを買った。

過去の経緯も粗っと載っている。
20年くらい前の頓挫。
  当時、製作の情報よりも先に降板トラブルを知った。
  「橋の上の娘」で眼を奪われたヴァネッサ・バラディがジョニデと
  くっついちゃったっていう。出産じゃ撮影無理よねとか思ったっけ。

テリー・ギリアム監督は、当初のイメージ通りに録り終えたのだろうか。
着想から30年の間に表現したかったことは変わったのだろうか。

どちらにしても。

出来上がった物語と映像世界は、リアルと夢想と虚飾の間を
縦横無尽に行き来して、観るものを着地させない。

物語は、単純にして複雑。
映像は重層的。リッチというのかな。豊潤。何かに満ちている。

たぶん、何十何百何千の解釈があるだろう。

広告業界のイケイケなトビーが、作中時間を経る中で、
サンチョ(≒うっかり八兵衛)的反応が顕れる、妄想世界に
取り込まれていく様子は、異世界ものに通じる魅力かもしれない。

20年前でなく、今、の"私"が観るがゆえの受け取り方もある。
「恍惚」系(有吉佐和子作のほう)との重なり。
ジョナサン・プライス演じるハビエルは、ドン・キホーテであれば
あるほど、生き生きと明るく力強い。
そして、恍惚の人は、一人称が若者になっていたりするもの。
観終わってふと考えた。
アダム・ドライバー演じるトビーは、果たして誰だろうか。

-----
公式サイト:http://donquixote-movie.jp/
去年、TVで「ロスト・イン・ラ・マンチャ」観た。
諦めなかったギリアム監督に愛と敬意を。

(2020.1.24)


この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 【気になる本】20200120-26 | トップ | 【気になる本】20200127-02 »