まなびの途中

色々な仕事をしてまいりました。
色々な出会いがありました。
勘違いもありますが、
学んだことを書いてまいります。

かくいう私も、マスコミ報道を鉄板で信じていました。

2007年05月12日 | 本・映画
本が少しでも読めるようになったことは、前進かもしれない。
「官僚とメディア」 魚住昭著 

最初、お勤めになられた共同通信社と私、みたいな回想録かと思いましたが、
中盤から、後半にかけて、いやいや、ちゃんとした構成になっていたんですね、
御見それいたしました。
何の気なしに手にした本ですが、ラッキーでした。

個人的に、関心があった「耐震偽装建築」のこと、
思いがけずも書いてありましたが、
えっつ?
結局、こういうことだったんだと、
ちょっと読んで見て、ショックでした。

というのは、あの「事件」。
さんざん、マスコミだ、ブロガーだ、政治家だ、専門家だ、司法だと、
多くの人間を巻き込みながら、
結局、印象に残ったのは、ヒューザーの小嶋社長と、イーホームズの藤田氏。
そして、堂々巡りする行政と、被害にあった消費者。

ところが、この本を読むと、なんのことはない、
姉歯一人でやったことで、
あの「事件」に登場した誰もが、誰一人として、この事件に「加担」していなかった。
これが、裁判の過程で、明確になっていったのだ。

おいおいおい。
どういうことなんだよ。これ。

著者は、その過程なりを調査した上で、こういう推論を下す。
  国交省は必要以上に偽装物件の危険さを強調し、偽装を見逃したイーホームズ
  やゼネコン、デベロッパーらを悪役に仕立てることで自らの責任を逃れようと
  したのではないかと思わざるを得ない。

あの国会で、一躍有名になった民主党の議員さんも然り。
さらに煽るだけ煽って、悪役を仕立て上げたマスコミもしかり、
誰もが、無能と呼ばわった、官僚なり行政の連中の「操作」に、
まんまと「踊らされて」しまったわけである。

情けない。

  今回の事件は、勉強不足のあほな建築士がきちんと検討されている合理的な
  設計の結果を真似しただけです。
  なぜそうなるのかの技術的な裏づけをせずに形だけ真似した(所謂偽造ですが)
  だけのことです。

笑ってしまうのは、例の、偽装の元になった、「計算プログラム」。
これって、大臣認定ソフトだけでもなんと106種類。
なんでこんなにあるんだ?
ということで、
こっちでやると、0.4。こっちでやると、0.9。
という風に、すでに行政側が、退去命令を撤回した物件もある。

  事件があらわにしたのは、建物の安全を支えるはずの建築確認システムが
  完全に形骸化し、機能しなくなっていたということだった。
  国交省の官僚達はおそらくそのことに薄々気づきながら、何の手も打たずに
  放置してきたのだろう。

  この事件で問われるべきは国交省の官僚たちの責任だった。

  それを問う声はあまりに細かく、官僚達はほとんど無傷のまま生き残った。
  その代わりに生贄として差し出されたのが小嶋であり、木村、篠塚であり、
  藤田たちだったというわけだ。

国交省の官僚達は、その五ヶ月間、どういう風に逃げ回っていったか。
その情報の大半は国交省を発信源としている。
国交省の「担当記者」たちは、それと気づかぬまま、
官僚達の生き残り戦略に「加担」させられたのだ。

記者クラブで、もう、客観報道と言う大名分をかかげ、
その情報の大部分を、もちろん、タダで、もらいうけながら、
5W1Hという、その定形的なスタイルに則って、
検証もせず、1人称で語ることもせず、
ひたすら、何かに「加担」させられていく、マスコミ。

どうやら、本当に、新聞、テレビなどは、この先、慎重に考えていかないと、
思いも寄らないことを、見せられるに違いない。
やばいなぁ。
この本を読むまで、小嶋社長のこと、本当に、意図的にやったと、
思っていました。やっていなかったんですね。はぁ~。
被害者だったようです。はぁ~。

他にも、色々な事件を、丹念に調べた記録が残っております。
いい、時事研究になります。



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2 コメント

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専門家じゃないから・・・ (修一狼)
2007-05-12 23:08:35
KANATAさん こんばんわ
この偽装事件と同種に医療ミス隠蔽があると思います。
当然記者さん達は設計士でもないし、医者でもない訳で、専門家の方or関係者の方から発信される情報が正しいか?なんて判断する事は出来ません。
そしてそんな情報を末端で受け取る我々も粗同様です。
話が専門的過ぎると先入観やコメンテーター等の意見に左右されがちです。
哀しい事ですが真実を理解するのは困難かと・・・
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Unknown (修一狼さんへ)
2007-05-14 12:59:50
今でも、情報の大部分をマスコミから受けている我々にとって、そのほとんどが、実は、マスコミが足で稼いだ「独自」情報ではない。そういう事実に愕然としています。

どうやら、記者クラブという中で、降りてきた情報。さらには、そういう公的な機関の人間と、どれだけ仲良くなって、「独自」情報を聞き出すか。
そのために、検証もなく、話題にしやすい「主人公」に焦点をあてた報道ばかりが目に付きます。

ライブドアと日興コーディアル。姉歯と小嶋社長とアパ。などなど。

報道って、なんなんでしょうね。
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