まなびの途中

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色々な出会いがありました。
勘違いもありますが、
学んだことを書いてまいります。

1980年代。女性は、確かにこういう環境にいた。

2005年10月08日 | 本・映画
ああ、こんな言い方って、ありなんだ。
そういう出会いができるのも、本を読む楽しみの一つであります。
今回、なにげに、購入した本。
「なぜフェミニズムは没落したのか」 中公新書ラクレ 荷宮和子著

実は、私は、この作者さん、存じ上げておりません。
キーワードとして、最近のジェンダーフリーやら、フェミ婆、
ウーマンなんやらに違和感を感じていたので、なんか、都合の良い、
参考本、ないかなぁ、なんてスタンスでいた訳です。
その時に出会った本なんです。

いやー、いっきに、読めました。
そして、冒頭に申し上げた、ああ、こんな言い方も、ありなんだ。
ということになる訳です。

以前、大塚英志の「おたくの精神史」という本を読んだが、文章が軟体で、
気を抜くと、漫然とページをめくって、なんにも頭に入ってこないことが、
あった。その点、引用が過多な事もあるが、繰り返し、
たたみ掛けるような「持っていき方」は、紛れも無く、まねのできない、
文書力と、精緻な言葉遣いが見て取れて、体力使って書いているな。
一瞬、ほれぼれすることもありました。

簡単に言っては失礼なんだが、1980年代を、特に、女性のあり方。
非常によく理解ができました。
それと、林真理子氏のこと。勉強させていただきました。

考えてみれば、あの時代は、初めて、女性が、自分の趣向を、自分で稼いだ金で、
何の気遣いも無く、実現できた、そういう時代なんである。
それまで、働くと言うことは、おばさん、やら、やむにやまれず、
といった背景がある女性に限られていた。
当然ながら、1人で、レストランやら、喫茶店ですら、入れない、
入ることが難しい、そんな時代であった。
DCブランドのブームも、加速をかけた事象だ。
自己表現も、自分の責任で、勝手におこなうことができたのも、ここから。
それまでは、ささやかに、「人前にでるから」という事態でできる化粧なり、
外着があったにすぎない。
そう、思い出しました。

その時に、男社会に、男どもに、敢然と、論理的に、立ち向かったのが、
フェミニズムと、記憶している。
均等法など、法的な進捗もあったが、なぜか、女性の地位の向上に、
直結しなかった。
それほどまでに、マスコミも企業も政治も、完全に男システムであったのだ。

そういう最中、当然、男どもは、女の奔放さという程度の認識さしか持ち合わせがなかった。
海外旅行に、「きゃぴきゃぴ」行きやがって、とか、「腰掛の癖に商社なんぞに入りやがって」。ええ、特にJR東日本の人事部に行ったときは、すごかった、
「お宅、どこの出身?はぁ?うちら、東大なんで」「女性?ああ、お茶くみに採
用費なんかかけらんねえよ」。1980年後半のことです。

今では、女性管理者、上司なんてもんは、ごくありえる状況で、さらに、今は、
外国人の上司という、とんでも最強キャラがおります。
本当、時代は、徐々に変わってまいります。
そこで、なぜ、そのフェミが市民権を得られなかったか。
「フェミニストは、露悪的な物言いを重ねることによって、
 フツーの女の心の中に、あの人達と同類に見られたくない、
 品性下劣な人間とおもわれたくない、といったイメージを植えつけてしまった」
この引用は、それ以前の、多様な引用があって引き立つのだが、
上野千鶴子やら、現在の田島陽子、といったら、うなずく、
人々も多いのではないか。

その文を読んで、思ったわけです。
良かったんだ、あの人々を、下品だと、思ったり、言ったりして。

そういう意味で、ちょっと、感謝すべき、本でございました。
今も、例の教科書問題に関して、教科書ネット21でしたっけ、そういうネット
ワークでがんばる女性たち。
もしくは、ネットで呼びかける様々な宣言やら、賛同する諸団体のHP。
「品性下劣」に近いイメージを持ってしまうのは、同じことなのかしら。
つまり、普通の人々に、呼びかける言葉の手段が、あまりにも下手っぽい、のだ。
怖い、とすら、思ってしまうのは、自分だけであろうか?
「許すな!」なんて、そのスローガン。右翼の宣伝カーに近いイメージ。
学者言葉自体、論理的なことは、なんとなくわかるが、その言葉は、
我々には馴染まないだろう、ということも含めて。

この部分だけを取り上げて、何事かと、怒られてしまいそうだが、
男として、当たり前だと思っていた社会通念といったものが、
いかに独善的なものであったか、
そうだからこそ、彼女達は、どれだけ、頑張らねばならなかったか、
それによって、ゆるやかに、旧来からの家庭をコアにした、
地域社会が崩壊しようとも、旧来からの「男システム」が崩壊しようとも、
社会に参加している以上、性別だけでの、不当な評価は、
大きな損失を生むのではないか、と、感じさせられる、本でございました。

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2 コメント

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Unknown (ケーティ)
2005-10-12 00:07:19
あー、同感します。

何かを伝えたい、変えたい、動かしたい、そういった『側』に限って言葉の選び方がヘタだな~と思うこと多々あります。



許すな!ひどいですね(笑)



詩人かコピーライターの1人でも雇ったほうがいいですね(^_^;)



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Unknown (Ktさんへ)
2005-10-12 09:53:14
コメントありがとございます。

今、ジェンダーフリーという活動も、女性を中心に行われており、とても、「お下品」です。

性差はあってしかるべしですが、おっしゃる通り、このままでは、一種のオカルト宗教に似た雰囲気になっています。

詩人か、コピーライターやら、有能な広告代理店でも雇ったほうが、得策だと思います。

でも、民主党を支えた、O通でしたっけ、評判は悪かったです。難しいんですね。
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