シェルブールの雨傘でギィの病床につく伯母さんに、毎日本を読み聞かせる
ためにだけ来るマドレーヌ。
実はマドレーヌはギィーの事が好きだった。
そしてマドレーヌは一人ぼっちの地味な女の子。
モスグリーンの暗めな格好で、とても人目を引くタイプではない。
主人公のジュヌヴィエーヴとは、全く正反対の女の子。
ギィーが兵役で2年間いない間も、ずーとギィーの伯母さんの面倒を看ていた。
兵役が終わり帰って来たギィーを待っているはずのジュヌヴィエーヴは、
中年の金持ちの宝石商と結婚しパリに行ってしまい、失意の底にいるギィー。
追い打ちをかけるように、ギィーの伯母さんが亡くなり、
本当の意味で一人ぼっちになったギィー。
マドレーヌはもうギィーの家に来る理由がなくなり、ギィーの元を
去る事を告げる。
その時ギィーは
「行かないでくれ。君に今行かれたら僕はひとりぼっちにんなってしまう。
ギィーの家は全体の色が緑色、マドレーヌもいつもモスグリーンの洋服。
ギィーの家の扉は青、壁紙は緑、そしてマドレーヌとギィーのシャツは
ギィーの色である青なのだ。
もう、ここで映画の中に布石があると思う。
この2人の未来が。
ここでは2人共、一人ぼっちの状況。
ギィーは行かないでとは言ってるが、マドレーヌに好きだとは一言も言ってはいない。
ギィーが今でも思っているのはジュヌヴィエーヴで、その事を分ったうえで付き合う。
でも、ここからがマドレーヌの凄さがあった。
ここから作家「橋本治」氏の解説。
だだ孤独を埋め、癒すだけの懇願に応じた事に対して、マドレーヌは
「あの時私が助けてあげた」という恩をギィーに売りたくなかった。
マドレーヌはギィーとの付き合いで対等であるための努力をした。
地味だったマドレーヌから華やかで若さに溢れる女の子になった。
その努力と賢さがギィーの心をマドレーヌに向けさせ、プロポーズさせるのだ。
真っ赤なドレスを着てサングラスをかけ、アイスクリームを頬ばる、若く明るい女の子。
マドレーヌの努力と健気さが映像を比較するとよく判る。
マドレーヌの思いの色がこの背景と洋服の色彩に現れていると思う。
とても同じマドレーヌとは思えませんよね。
そして月日が経ち、クリスマスの日。
突然ギィーのガソリンスタンドに現れたジュヌヴィエーヴとの束の間の再会。
そこには、ギィーの揺るぎないマドレーヌとの幸せがあった。
ジュヌヴィエーヴが帰った直後にマドレーヌと男の子フランソワが帰ってくる。
その時の姿はグリーンのスカーフとコートをきたマドレーヌがいた。
彼女は本来の彼女に戻っていた。
でもその姿は曇りひとつない幸せな頬笑みがギィーに向けられていた。
そしてギィーのガソリンスタンドにはグリーンのツリーが飾られている。
恋とは・・・
恋がこんなものかもと漠然と想い憧れ、ただ恋をしてる人はその恋が
終わっても、また同じように浅い恋をする。と私は思う。
だがシャープな頭の持ち主ほど、メタメタに深く激しい恋に落ちると、
橋本治氏は書いていた。
その通りだと思うと同時に、
本当の恋に出会う人ってほんの一握りじゃないかと思いました。
シェルブールの雨傘は本当の恋とは「賢さと努力と健気さ」を
色彩で映し出している名作ではないだろうか。。。
今日は本当の愛を手にいれたマドレーヌの心を映像で表したと思われる
場面を見て頂きました。
色彩で表現する「シェルブールの雨傘」いかがですか?
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