中国貴州省で日本語教師

2007年春~2009年春、青年海外協力隊

会話の授業のフィードバック

2007年12月07日 | Weblog

出国前に撮った新宿の街並み。小学生の頃から見ている懐かしい風景。私の心のふるさと。

会話の授業も半年が過ぎ、当初、私の発音の、東京人に特徴的な標準語の、母音の無声化を聞き取れなかった学生たちも皆よく聞き取れるようになり、さらには私の発音を真似て母音を無声化して話す学生も現れ、進歩の速さに驚かされる。

会話の授業のアイスブレーキングでは、毎回2~3組の学生に寸劇をやらせている。

教材は日本人の幼稚園児~小学生向けの『ことばのテーブル100枚プリントワーク』で、「ただいま~」「おかえり、学校どうだった?」「今日テストがあったんだけどね」的な他愛もなく日常的な短い会話のドリルで、役者になる学生はテキストの8ターンくらいの会話文に続き、さらに8ターン以上自分たちで脚本を書いてきて演じる。終わった後は観客から役者に質問させる。

脚本を暗記しなければならないので、けっこう負担かもしれないが、皆同じ寮に住んでいて同じ時間帯に勉強しているし、他の授業では宿題があまりないようなので、一生懸命準備してきてくれている。

9月ごろは覚えるのがやっとで、観客からのフィードバックも私が指名したりして緊張ぎみだったのだが、慣れてきた今は大盛り上がり。テキストの規定の脚本は皆コピーして持っているので、発音が悪いと、観客から厳しくツッコミが入る。逆に役者が未習単語を脚本に入れていると、中国語で直訳して教えたりする。ストーリーは毎回何が起こるか分からないびっくり箱。親が子に買い物をお願いする平和な午後の家庭の風景が、突如ドロドロの家庭の事情になったり、放課後の友人どうしの日常会話が、知ってはいけない秘密を知る展開になったして、ハラハラドキドキ。

教師の私はといえば、「え、今何って言ったの?」とか「そういえば、メロンは日本では高級な果物なんですよ、中国と違うね」などと、わりとどうでもいいコメントをするだけで、最近は学生たちのほうで、「もう質問は無いですか?」などとしきってくれているので、学習者同士のフィードバックとしては理想的かもしれない。

でも盛り上がりすぎると問題点もある。

今日の授業では、ペットの話題の規定会話から、彼氏がペットに嫉妬する、という展開になって、観客の質問は、役者の本当の彼氏のことに集中。ま、全部日本語でのやりとりだからいいんだけど…ちょっと収拾がつかなくなってきたのでどうしようかな、と考えていると、中にはクラスコントロールを考えていてくれる学生もいて、「はい、質問は以上です以上」と、芸能マネージャーのようにしきってくれた。