マキノ病院小児科ブログ

小児科からのお知らせです

耐性菌

2010年09月09日 | 診療
先日より、スーパー耐性菌だの、他剤耐性菌だのやたらと騒がれていますね。
抗生物質の発見以来、微生物と薬との闘いは絶えず続いていて、
おそらくこれからも終わることはないのでしょうね。
むしろ、相手が悪すぎますので、今回のような騒動は起こって当たり前とも?

自分も研修医終了後くらいまでは単なる風邪に対しても結構抗菌剤を処方していました。
耐性菌の問題もちょっとは気にはしてましたが、そういうものだという認識でしたね。
こちらに赴任したくらいから、風邪に抗菌剤は本当にいるのか?と考えされられるようになってきます。
世の中も抗生物質の適正使用を!という流れになっていましたし。

最近では、とびひには早めに処方してはおりますが、その他はできるだけ経過をしっかりみてから、
本当に必要性のある子に限って投与する方針です。
おっと、溶連菌は喉があやしい時には迅速検査して、その場で投薬ですね。

「風邪に早いうちから抗菌剤を投与していても、肺炎になる子を予防することはできない」
というデータがでているそうです。
予防できないなら、悪くなってからしっかり診断して、ちゃんと治療しましょうねとなります。
また、細菌性髄膜炎は怖い病気ではありますが、
予防しようと抗菌剤を「内服」させてもまったく予防効果はありません。
むしろ症状を隠してしまったり、見た目マシになったようにみせるだけであったりと、
診断・治療の妨げになってしまいます。

「念のために」抗菌剤を。。。はダメということですね。

咳が長引くタイプの咳風邪があります。
これにはいつも抗菌剤をどうするのか悩みます。
一番の判断材料は、同じ風邪で来院した子どもたちがその後どうなった?です。
誰も戻ってこないのなら、余計は薬はいらないかも。。。ですね。
肺炎になる子が1,2人くらいなら、悪い子だけに要注意。
2,3月みたいに、軒並みひどくなるのなら、目をつぶって早い目の抗菌剤投与も必要か?ですね。

でも、肺炎になってから「必要なら」抗菌剤使うほうがよく効くとも言われています。
実際、内服薬が飲めなくて入院になったとします。
要するに治療はまだやってないのと同じことになります。
入院して、点滴からしっかり薬を使うと本当によく効くなというケースも多いです。

中耳炎も同じ。
ほとんどの中耳炎は「耳の風邪」です。
基本的に3日間は抗菌剤なしで経過をみるのが大事。
何度も繰り返したり、重症化しやすい場合は別ですよ。

今津の岡田先生もできるだけ抗菌剤を使わないようにしておられます。
そのおかげで、マキノ今津近辺の子どもたちが接する機会のあるばい菌ちゃんたちは
かわいらしい?菌が多いですね。

うちのチビのように、尿路感染症など、早い目にしっかり抗菌剤が必要な病気は確かにあります。
うちの子はあまりに偶然な診断してしまいましたが、あれはほんとに特殊^^;
だいたい、マキノ周辺のように限定された地域で流行中の風邪はほぼわかります。
みんなと同じ経過ならそんなもんやでと言えるのもこの地域ならでは。
だからこそ、みんなとちょっと違うなとか、治りが悪いな。。。が大事。

と色々言っておきながら、経過見ましょうね。。。で散々引っ張っておいて、
やっぱり悪くなってくると、こちらとしてもつらいことも。
実際、その子が一番つらいし、親御さんも大変ですし。
その辺の見極めにはいつも悩むところなんですが。
悪くなってそうならマメに受診してもらって相談するしかないですね。
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1 コメント

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知らなかった。。。 (河原)
2010-09-14 12:44:04
他剤耐性アシネトバクター。。。
なんと警察が乗り出そうとしてたんですね。。。

http://www.47news.jp/CN/201009/CN2010091001000779.html

患者をなんとか救おうと抗菌剤を使った
→残念ながら救えなかった
→耐性菌が出た
→下手すりゃ逮捕!?

院内感染を認めるつもりは決してないですけどね。
下手に細菌培養なんてしないでおこう。。。
重症患者はみないでおこう。。。
なんて流れを作りたいんですかね、警察は。
マスコミが騒げば騒ぐほど裏に何かあるのかと
かんぐりたくなる今日この頃です。。。
厚労省も「無駄」に実態調査に乗り出すみたいですしね。


話変わりますが、30さん、お疲れ様でした。
親が納得できることが大事ですからね。
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