「伽羅先代萩」坂東玉三郎の政岡
坂東玉三郎の政岡を昨日テレビで見ることができました。
仙台伊達騒動をもとにしたこの出し物は、
政岡という主人公を演じる女形の役者の力の見せどころですね。
この政岡を演じるのは立女形(たておやま)という最高の女形だそうです。
私が一番楽しみにしているのが、「飯炊き」のくだりです。
政岡が、毒殺を恐れて食事を採れない若君のために、
自ら食事を作って用意するのですが、
台子のお点前で、ご飯を炊くというその所作がとても美しいのです。
お点前というより、台子の点前を取り入れた、
様式化された踊りの様な所作ですが、
流れるような動きと、一つ一つの姿かたちが、何とも優雅です。
真っ赤な衣装にまた赤い帛紗が、
いやがうえにもその美しさを引き立たせています。
茶筅でお米を研いだり、
釜の湯を沸かすために炭をついだりする所作も流れるようで、
実際のお点前ではやりすぎですが、
私にも少しはあの優雅さが出てもいいなあと思ってしまいます。
舞台で見るよりも、テレビの画面で見るほうが、
細かな所作が見られて、目を凝らして観賞してしまいました。
偶然番組表で見つけたのですが、
思いもしなかった突然の至福の時間でした。