グローバルネイチャークラブのガイド日記

グローバルネイチャークラブ(旧グローバルスポーツクラブ)のガイド仲間が観察した伊豆大島の自然の情報を中心にお届けします。

ジオパーク研修会その2「震災学習列車」

2014年10月31日 | 火山・ジオパーク
三陸研修会ツアー 午後の部の報告です。
午後は震災学習列車に乗りました。

三陸鉄道の列車を1両借り切り、所々で止まりながらガイドさんの説明を聞くツアーです。

我々の乗る車両が入って来ました。

窓の上に「団体」と書いてあります。

ツアー前には、参加者に発車ベルを押させてくれるサービスも…。

たぶん通常のベルより、長~く鳴っていたような気がします。

列車の中は、こんな感じです。

三陸鉄道のガイドさんが通路に立ち、挨拶とともに『気持ち』を語ってくれました。
(以下、全てガイドさんの言葉をカッコで閉じて書いてあります。)

「今の被災地を見て、聞いて、様々なことを感じてほしい。この電車に乗った人の、今後の防災に役立てていただきたい。お涙ちょうだいではない。もし住んでいる地域に同じことがおこったら、どうするかを考えてほしい。ガイドは本当はしたくない。話しをするのも辛いこともあるが、頑張って話す。」

ガイドさんからうかがった震災学習列車の概略は以下のとおりです。
「2年前からガイドを始め、今年の4月からだけでも250団体11,000名を案内している。最大300名受け入れたことがある。ガイドは北と南で4名と3名で対応し、三陸鉄道全体では計7名。学生の修学旅行などが半分、半分が一般。7割が県外から来る。話しを聞いて、泣き出す中学生もいる。手紙もいっぱい来るが『家族と話した。』という手紙が一番うれしい。車両は一両¥55,000で借り切れる。」

資料を見せてくれながら、説明は続きます。

「震災では15,800名以上が亡くなった。9割が津波の犠牲だが、1割は運良く陸に上がれたのに、治療を受けられなかったり、寒さでなくなった(東北の3月はまだ冬)。このことはあまり知られていない。地震発生は14時46分。明るくて、学校も下校の直前だったのはラッキーだった。これが夜だったら被害が大きくなったと思う。昭和、明治、チリ地震の津波も来ているが、暗い時の地震は被害が大きくなる。」

「犠牲者の中には他者の命を救おうと最後まで戦った人がいっぱいいる。消防団、警察官が大勢亡くなった。」

「ここは松林があって昔は海が見えなかったが、災害後、見えるようになった。」

「線路の反対側には、家がビッシリ建っていたが、災害後何も無くなった。今、土を盛って公園を作ろうとしている。少し高い公園を作り、家を守る。」「ここは復興がいち早く進んだ…なぜなら行方不明者がゼロになるのが一番早かったから。役場が流されなかったのもその理由。」

沿線で一番被害がひどかった地域で列車を止めて、海に向かって黙祷しました。
(毎回行っているとのことです)

犠牲になられた方達が、どうぞ安らかでありますように…。

さて、汽車に揺られながらガイドさんの話は続きます。

「防潮堤の堤防はほとんど海側に倒れていて、引く波の力の方が強いことがわかった。平均11~14mの高さの津波は『堤防を越えた』のではなく『堤防は壊された。』」

水門機械室の屋根37mの高さまで遡上した場所も、紹介してくれました。

37mの波って、どれだけ高いのでしょう!

線路を第二の堤防にする目的で、海側が滑らかで、陸側が凸凹の線路が作られたそうです。


海側の滑らかな斜面で水をやり過ごし…


陸側の凹凸で抵抗を大きくして、水の力を弱めるようにできているとのこと。


サケの養殖が行われた地域では震災後サケを放流し、「サケが戻ってこそ復興」と言っているそうです。
そして今が、その時期とのことでした。

「あ!サケが見えた!」誰かがそう言い、車内は一時、たいそう盛り上がりました。
残念ながら私には確認できませんでしたが…。

「この風景の中の港に船が浮かんでいるのも最近のこと。津波直後は何一つ無くなかった。」


「3月11日に避難しなかった人がいる。2日前に大きな地震があったが、津波は来なかった。今回も来ないだろう。防潮堤が命を救ってくれると思っていた。海が見えなかったため、津波が防潮堤を越えて始めてわかったがソレからではもう逃げられない。」

「ちょっとした知識があれば助かった命がいっぱいある。『地震があったら高い所に避難する』というシンプルなこと。『身近に起きることとして考えてほしい。』そのためにジオパークは外せない。ジオとトレイルも絡めて三陸を発信していきたい。」

最後に,印象に残ったガイドさんの言葉を…。
「被災した企業として、また支援をもらった企業として、続けることが役目だと思っている。」

今回も、つらい思いを乗り越えて語り継ごうとする勇気を持つ人々に、力をもらいました。
大島に持ち帰りたいと思います。

(カナ)

コメント    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ジオパーク研修会「自然災害... | トップ | コハクチョウ キターーーー... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

火山・ジオパーク」カテゴリの最新記事