グローバルネイチャークラブのガイド日記

グローバルネイチャークラブ(旧グローバルスポーツクラブ)のガイド仲間が観察した伊豆大島の自然の情報を中心にお届けします。

春、こころもとなし

2011年03月09日 | 海の生物

陸のブログは日々春の訪れを思わせる内容が書かれていますが
海の中はというと、まだまだ冬です。
しかし、今年はこの時期にしては黒潮が近づく事もあり、水温が平年よりも2℃程高いです。
陸の季節と海の季節は2ヶ月程ずれていると良く言われます。
なので、今は陸上で言う所の1月位にあたるのです。

冬の海・・・と聞くと「冷たい」「荒れている」というイメージもあります。
確かに水温が低く冷たいのですが、良い事もあるのです。
なんと言っても透明度が最高です。
海の中で浮いていると何処まで見え、非常に気持ちが良いのです。

そして、この時期じゃないと出会えない生物がいます。
代表選手をいくつか上げてみましょう。
まずは、ウミウシ達。この時期には非常に数が増えるのです。
これにはいくつか理由があります。1つに餌となる物が増えるからでしょう。

水中には、変化にとんだ様々な地形があります。
高さ10m以上に及ぶ高い壁や直径3m以上もある巨大な岩等
まさに火山島ならではの複雑な地形が水中に広がっているのです。
伊豆大島は水中もジオパークなんです。
そういう起伏に富んだ地形だからこそ、岩肌に色々な物が付着します。
海藻やカイメン・ウミトサカ等の腔腸動物など、実に多種多様です。
それらを好んでウミウシ達が付いています。
水温が下がる時期には、岩肌に緑色の海藻が付着します。
特に今多いのが、ミドリガイと呼ばれるウミウシの仲間達です。
数が多いのはハナミドガイです。

まるで派手なナメクジの様ですが、水中で見ると可愛いのです。
こんな変わり者もいます。


ユリアガイです。
アサリ等で知られる二枚貝に似ていますが、れっきとしたウミウシです。

冬に会えるのはウミウシだけじゃありません。
ここから得意のヤドカリを1つ
冬にしか出会えないヤドカリ、ケスジヤドカリです。

何故、冬にしか会えないのか?というと通常水深100m以深が生息水深だからです。
浅場の水温も下がるこの時期には、普通じゃ見られない様な浅い場所まで上がってきます。
時には、宿貝に載せて珍しい貝を連れて来たりします。

正確には、貝に付着させたイソギンチャクに寄生して一緒に上がってきた貝です。
名前はツギノスナギンチャクイトカケといいます。

これらは、あくまでも極一部です。
まだまだ、冬ならではの生き物がいます。

春の到来がまだの水中ですが、冬には冬の楽しみがあります。
ドライスーツをいう、特殊なスーツを着て潜ると、体は全然濡れずに潜る事が出来ます。
勿論、体験ダイビングもこのスーツで行いますので、水温が冷たくても全然大丈夫!!
透明度最高の海を是非体験して下さい。
お待ちしております。

 

コメント
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