名古屋の白ウサギ・1964年生・

別名、ウサギ仙人・・職業・会社員

火葬場での対決

2014-06-15 | その他
私の父親は、幼いときから、ガキ大将として名の知れた人物でした。

体型は小柄ですが、幼い頃から百姓で鍛え上げられていたので、

筋肉質で柔軟、

ケンカが強く、度胸があり、恐いもの知らず。

私が子供の頃、
私の父親の事を幼い頃からよく知っている人間は、
クチをを揃えてこう言った、

「 君の父親は、恐いもの知らずのガキ大将だった・・ 」

どんな悪ガキも震え上がるほどの
無敵のガキ大将だったらしい。

こんな父親ではありますが・・・・

あるとき、私に、告白した。

「   自分は、子供の頃、恐いものなど何もなかった・・
 どんなケンカも負け知らず、どこからでも掛かって来い!!! 
受けて立とう!!と豪語していた。
でも・・・一度だけ負けた事がある・・・   」

私の父親にケンカで勝てるような男は、よほどの怪力の持ち主か、
知能犯であるに違いない・・・

私は父親に尋ねた・・・

「 それは、どんな相手だっのか? 」  

父親答えて、

「 いや、そんな怪力も、悪知恵もない男だ、誰がどう見ても、弱そうな男だった 」

私の父親にケンカで勝った悪ガキ ・・・

どんな勝負を挑んできたのか興味が湧きあがって来た・・


父親は語りだした・・・・


 ある日、隣の集落に住む、ガキ大将が、俺にケンカを売ってきた・・・


 『 よし、受けて立とう!! 』と答えた、


すると、その悪ガキ、はこう言った

『 お前の度胸を試してやる、お前にもし、勇気があるなら・・
今日の夜中の11時に、村のはずれにある、墓場の中の 
         火葬場まで一人で出て来い。そこで、決着をつけてやる。
どうだ?  恐いか?・・・・ 』


( 今はあまり見かけませんが、昔は、墓地の中にレンガ造りで、
観音開きの鉄の扉が付いた小さな火葬場があった)


父親は即答した 『 望むところだ!! お前!! 怖気付いて逃げるなよ!!! 』


勇気を振り絞って、約束の時間に、夜中の墓場に向かった・・・

指定された、火葬場の前で悪ガキが来るのを待った・・・

約束の時間になっても、悪ガキは現われない・・・

恐いもの知らずの父親といえども、さすがに深夜の墓場は薄気味悪く、恐くなって来た・・・


『 あの野郎・・・怖気付いたな・・・俺の勝ちだ・・・ 』


そう思って、引き返そうと思った。

そのとき、

信じられない事が起きた・・・・

レンガ造りの、火葬場の死者を焼く炉の中から 
焼却炉の入り口を塞ぐ鉄の扉を叩く音がする・・・・

父親は、恐ろしくて、一瞬硬直した・・・・


すると、 その瞬間、


火葬場の 死体を焼く焼却炉 の鉄製扉が、内側から物凄い勢いで開いた、


と同時に焼却炉の中から、人が飛び出してきたのだ・・・・


そのとき、父親は、

あまりの恐怖ゆえ、ひっくり返ってしまった、

完全に腰を抜かした状態で、立ち上がる事もできなかった・・・


なんと・・・・


この悪ガキ、 父親が墓場に到着する以前に、すでに現地に来ていて、

火葬場の鉄扉を開け、中に入って、父親が来るのを待っていたのだ・・・


夜中の墓場と云うだけでも恐怖のはずだが、

この悪ガキは、火葬場の死者が焼かれる 火葬炉 の中で、

死体と同じ状況で仰向けに寝た状態で、横になって、

更に、鉄扉閉め、 真っ暗な状態で、

私の父親の来るのを待ち伏せていたのだ・・・・・


信じられない 根性の持ち主だ、 人間離れしている・・・・


さすがの父親も、このときばかりは 

『 まいった・・・・ 』

と、素直に負けを認めた。



私は思いました・・・・・


この事は、悪ガキ同士の他愛もない決闘のお話ですが・・・


この悪ガキ位の 根性と 信念と勇気 と 度胸がなければ、

いくら、偉そうな事を言っても、たいしたことは出来ない・・・・


もし、何らかの必要に迫られた時、

果たして・・・私に、この悪ガキと同じことが出来るのだろうか?

「 命を懸ける思いで、何かをする 」 

と思ったとしても、

「 じゃあ・・・ あの悪ガキと同じことが出来るか? 」

と問われたら、

「 んん・・・・・・・ 」 と思ってしまう。

私に所詮、そんな度胸はない・・・


色々な人と接してゆく中で、

他者に対して 『 あの 意気地なし!!! 』 と思ったとき、

いつも、この話を思い出して、

自分に言い聞かせる。

「 自分も弱虫だろ !!! 」 









コメント
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