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2011年のタブレット: iPad 2 と後発品の比較 (Xoom, Playbook, Galaxy, TouchPad)

2011-03-23 17:01:47 | レビュー

今年のタブレット市場は3月11日の iPad 2 発売開始によって激しい競争が開始された。
数多くの後発品の中から、少しでも売れる可能性のありそうな4機種 (Motorola Xoom, HP Touchpad, RIM Playbook, Samsung Galaxy) を選んで検討してみた。

前置きを一つ。
モトローラのズームは6月以降の注文が出ておらず、モデルチェンジが近いとの噂を生んでいる。

比較一覧表を作ってみた。
すぐ気付くのがHPのタッチパッドは発売前に既に終わっている点。

タブレットを購入したいと思っても、タッチパッドを選ぶ理由を見いだせない。
価格は未定だが、部品代や経費を計算するとベースモデルで$499より安く売り出すことは出来ないと分析されている。
さらに、画面の解像度、カメラ、重量、厚さ、どれをとってもハードウェアとして劣っている上に、悪名高い WebOS を走らせているとなると、とても買う気にならない。

補足すると、 Palm は全盛期にソフトウェア開発者をないがしろにして大きな反感を買った。
一時は Palm OS を中心とする共同体が形成去れ、大きく成長する可能性があった。
Plam 自身がエコシステムを破壊したと言っても良い。
現状では、有能なソフトウェア開発者達が Palm (WebOS) のもとに再び集まってくるとは思えない。
ほとんどのアプリが他のOSからのポートになるだろう。

その意味ではブラックベリー (RIM PlayBook) も同様の弱点を抱えている。
ソフトウェア面ではアップルが先頭を走りアンドロイドが後を追う形となっている。
ブラックベリーの強さは社用の携帯電話を一時期(2004年頃)席巻していた点だ。
タブレットを携帯電話と連動して使うという強みがある。
それにしても、使えるアプリケーションの数が圧倒的に少ないのが気にかかる。

ハードウェアとしてはプレイブックはいくつか売りを持っている。
小さい画面は長所でもあり欠点でもある。
ほとんどのタブレットが自宅やオフィスなど WiFi 環境が整備された中で使われることが多いのに対し、ブラックベリーは路上で使われることが多い。
前者はラップトップを軽くしたイメージで後者は携帯電話の画面を大きくした感じだ。
その意味では棲み分けが可能だろう。
優れた携帯性と高性能なカメラ、ブラックベリー携帯との連携の良さは一定の支持を受けるだろう。

モトローラのズームは上述のようにも出るチェンジが必至だ。
同じ Android 3.0 (Honeycomb) を搭載した Samsung Galaxy Tab 10.1 が発表されたため、現行モデルでは勝負にならない。
スペックを比較してみれば分かるとおり、分厚くて重たいズームにこの値段は正当化できない。
ズームは主カメラの解像度だけがギャラクシーを凌いでいるが、ビデオ再生時の解像度や携行性で劣り、OSや画面、CPUの性の等では差がない。
これから初代ズームを買おうという人はいないだろう。

今年の夏に発売される2代目ズームについてはどういう性能になるか見当もつかないが、アンドロイドのタブレットは競争のために1世代の寿命が短いと考えられる。
その結果ハードウェアの性能が少しずつこまめに改善される筈だ。
iOS に関しては同じOS内での競争がないので年1回のモデルチェンジのペースが守られる。
モデルチェンジごとの変化はその分大きくなるだろう。

そう考えてくると現況では、iPad 2 と比較検討したくなるのはギャラクシーだ。

 

モデル
Apple iPad 2
Motorola Xoom
HP TouchPad
RIM PlayBook
Samsung Galaxy Tab
発売日
3月11日
2月23日
未定(6月?)
4月19日
未定
OS
iOS 4.3
Android 3.0
WebOS 3.0
BB Tablet OS
Android 3.0
画面
9.7" backlit
10.1" WXGA
9.7"
7"
10.1" WXGA
解像度
1024 x 768
1280 x 800
1024 x 768
1024 x 600
1280 x 800
CPU
1GHz A5
1 GHz Tegra 2
Snapdragon
1 GHz DC
1 GHz DCA
RAM
512 MB
1 GB
1 GB
1 GB
1 GB (噂)
容量
16/32/64 GB
16 or 32 GB
16 or 32 GB
16/32/64 GB
16/32/64 GB
カメラ
VGA
2.0 M
1.3 M
3.0 M
2.0 M
カメラ
0.7 M
5.0M + LED
-
5.0 M
3.0M + LED
携帯
3G GSM/CDMA
CDMA, LTE 700
3G + 4G
3G/4G
HSPA+/GSM
WiFi /BT
801.11 (a/b/g/n), EDR 2.1
801.11 (b/g/n)
801.11 (a/b/g/n), EDR 2.1
加速度計
3軸
3軸
ジャイロ
電池
10時間 (25Wh)
6500 mAh
6300mAh
5300mAh
6860 mAh
厚さ
8.8 mm
12.9 mm
13.7 mm
10.0 mm
8.6 mm
重さ
601 g
730 g
740 g
425 g
595 g
最安価格
$499
$599
未定
$499
$499
上位機価格
$829
$800
未定
$699
未定
ソフト
App Store
Android market
Palm
App World
Android market
ビデオ出力
1080p mirroring
720p
 
1080p
1080p
外部接続
30 pin
microUSB, MicroSD
 
microUSB
USB, micorSD
サポート
アップルストア
遠隔
遠隔
遠隔
遠隔
短所
外部メモリー
高価格
ソフト
OS
弱いサポート
写真

 

ギャラクシーと iPad 2 OS(アンドロイドと iOS)

この2機種を比較するに当たって避けて通れないのがOSの比較だ。
アンドロイドと iOS がタブレットでは2大OSで、ソフトウェア開発者も寄らば大樹の陰とばかりに集まってきている。
最大の違いは片やコントロールされており、片や野放しという点だ。
どちらを取るかは個人の好みとなるので価値判断をせず、事実関係だけをさらってみたい。

アンドロイドは開示性が高く自由をうたい文句にしている。
逆に言うと、 iOS にはアップル社の検閲が入っているということだ。
つまり、アップストアで発売しているアプリケーションについてはアップル社も責任を持つということを意味している。

最近、アプリケーションの中での買い物について問題が生じた。
バーチャル空間で村おこしをするソフトで農作物を育てたりインフラ設備を行うために仮想エネルギーを購入できる設定だったが、まだ金銭感覚のない子供達が大量に仮想空間で買い物をして親が真っ青になったということがあった。
もちろん親がパスワードを最初にタイプしてから子供に渡すのだが、目を離した隙に買い物にいそしんでいたらしい。
この件についてはアップル社がソフトの危険性を認め返金している。
第三の会社が制作販売しているソフトでも、アップル社が窓口となって責任を負うという仕組みだ。
消費者にしてみればある意味ありがたい面もある。
アップル社はそのほかにも低俗なソフトやポルノを認めていないのでアップストアは比較的安心して閲覧できる。

一方、この仕組みについて消費者の自由を奪う行為だと反発している人たちもいる。
アンドロイドは誰もが自由にソフトを作成して配布できる。
その結果、アンドロイド・マーケットには騙しのようなソフトが多数存在し、消費者側でそれらを見分ける必要が生じた。
自由度が高い分消費者側の責任が重い。
アンドロイド用には成人指定のアプリを扱うサイト (Mikandi.com) もある。
実際、スティーブジョブズが "on Android there is even a porn app store" (アンドロイドにはポルノ専門店がある)と発言した日には Mikandi からのダウンロード数が12時間で1万にも上ったという。(Mikandi の創設者 Jen McEwen)
" We got 10,000 downloads of our app store in 12 hours that day. It was amazing. ...We're the extreme testament of what you can do, and the freedom that you get"
(あの日は12時間で10万回のダウンロードを記録したわ。素晴らしいことよ。私たちは、インターネットで何が出来てどんな自由を謳歌しているかを示す生き証人なのよ。)
彼女たちは合法でさえあれば、ソフトをリストに載せるそうだ。

OSの背後にあるポリシーの違いの他に、アンドロイドと iOS には多機能性にも差がある。
アンドロイドのアプリは終了させない限り背後で普通に走っている。
メモリーや電源も通常通り使用する。
iOS では一部の機能を残してソフトが終了する。
例えば、背後に回ったソフトからは画面表示に関する部分が終了しその分メモリーを解放する。
上記比較表で iPad 2 のメモリーが他機種に比べて少ないのはこのためだ。
メモリー使用の効率がよいので複数のアプリを走らせても iPad は遅くならない。
一方、アンドロイドでは多数のソフトを走らせるとメモリー不足が生じる。
電源についても、持続時間と電池の重さの割合が iOS では高くなる(効率がよい)。
それと引き替えに、アンドロイドではアプリの切り替えが速くなる。

ギャラクシーと iPad 2 ハードウェア 

ハードウェアの性能を単純比較すると明らかにギャラクシーの方が優れている。
デザイン、薄さ、軽さ共にほぼ同等で、いくつかの点で iPad 2 はギャラクシーの後塵を拝している。
特にカメラの性能、HPSA+対応、外部メモリーの使用、画面の解像度等では明らかな差となっている。

ギャラクシーと iPad 2 ユーザー経験とエコシステム

iPad 2 の最大の強みはユーザー経験にある。
サポート体制がしっかりしており、アップルストアで対面して相談が可能な点は特筆に値する。
クラウド、コンピューター、ソフトウェア、ハードウェア、ソフト開発者との連携をアップルが一貫して提供している点も消費者だけでなくソフト開発者にとっても有利に働く。
いわゆるフラグメンテーションが問題にならないからだ。。
これについてはいずれ詳しく触れるとして、ソフト開発者にとって宣伝、販売、集金をアップルが代行するエコシステムは都合良いらしい
これからますます iOS 用のソフトが充実すると予想されている。

まとめ

今年も昨年に引き続いてアップルがタブレット市場を牽引している。
2011年には多くのタブレットが発売されることが予想されるが、実際に iPad 2 に対抗できる機種は限られている。
価格面とソフト面がネックとなるからだ。
いくつかのアンドロイド機種は市場に食い込んでくるだろう。
その中でも素早く iPad 2 に応えたギャラクシーとこれから衣替えするズームは注目する必要がありそうだ。
プレイブックはブラックベリー携帯使用者という限られた市場では受け入れられるかもしれない。



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