社会の荒廃 研究室(蜻蛉の眼鏡)

国連の女子差別撤廃条約に基づく男女共同参画を強行する女性独裁権力(フェミニズム)の社会病理に言及、コメント欄も充実。

奥谷禮子発言の波紋 ~ホワイトカラー・エグゼンプションの欺瞞~

2007-01-13 13:54:30 | 労働
 「格差なんて当然、能力には差があるのだから」、「経営者が過労死するまで働けなんて言わない」、「辛いなら休みたいと言えばいい」、「会社が悪い、上司が悪いと他人のせいにする」、人材派遣業大手、ザ・アールの奥谷禮子社長が「週刊東洋経済」2007年1月13日号で、労働者の過労死などをめぐる労働環境について、労働者側に問題があるという見解を示した。

 2chのニュース速報+板では、奥谷氏に対する批判意見が殺到した。「休みたくても休めない職場で働いたことが一度でもあるか」、「派遣会社は奴隷商人で人身売買と同じ」、「労働者に食わして貰ってるのはどっちだ」など。

 奥谷氏のこの発言は、労働者が労働環境を自己管理することにより、残業手当の支給対象から除外する「ホワイトカラー・エグゼンプション政策」に関連するものだ。

 この対象となる労働者は概ね以下の条件に該当する。(1)労働時間での評価が困難、(2)重要な権限や責任がある立場、(3)業務負荷や手法に関し自己管理していて、使用者から指示されない、(4)年収が相当程度高い。

 政府は現段階では、年収の目安として900万円以上としているが、一度法律を制定してしまえば、DV法などと同様、なし崩し的に対象範囲を拡大してくることは容易に想像が付く。将来的には、どんな仕事だろうが残業手当は付かないという時代が到来する可能性は高い。

 では、何故このような労働者いじめの政策が採られようとしているのか。理由は経済界の思惑とフェミニズムの思惑が一致した結果と言えるだろう。

 バブル期には労働力不足、不況期には夫のリストラに備えたバックアップ、少子化対策には共働きによる家計収入の向上など、色々な理由をつけてフェミニズムは女性の労働を促してきた。しかしその結果、育児休業やセクハラ相談室など企業負担が増えたため収益を圧迫し、リストラや非正規雇用が増加した。それでも企業の収益と女性の楽な労働環境の確保のため、今回の政策に繋がったのではないだろうか。

 男性労働者が低賃金で夜遅くまで働かされる一方、女性労働者は管理職などに優先的に登用され、部下に指示を出すだけでさっさと早く帰宅するという時代がやって来るのかも知れない。