持続可能な国づくりを考える会

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治山治水の意味: 上勝町視察旅行の記録(18)

2009年03月08日 | 上勝町

さて、笠松町長の先導のもと、私たち視察メンバーは途中の渓流にかかる橋(?)をこわごわ渡りました。





ちょうどその橋を渡りきったところで斜面を見上げた画像です。

放置されたままになっている木々が、なんとも寒々しい印象を与える場所です。
ここで町長からの御説明がありました。







過剰な植林は、上記のようにもともと計画的な間伐を前提としていたのですが、林業が崩壊し生業として成り立たなくなってしまった今では、間伐ひとつ行なうにも国の補助が必要になってしまっているそうです。

しかし山林のほとんどが私有林である上勝町は、国の補助では管理ができないという事情もあるとのことです。

さらに、現在林業従事者は、徳島では600人にまで急減し(国土の7割を山林が占めるこの日本でわずか4万7千人)、しかも高齢化が急速に進行していて人手そのものが足りません。

山に入ってからずっと見かけている、画像のように放置されている多数の木々が気になっていたのですが、これらは倒木や間伐材が運び出せないまま、また運び出せても販路がないため、やむを得ず放置されたものです。

なんと表現したらいいのでしょう。ともかく荒れ果てた感じがします。

このように倒れたり伐採されたまま放置された木材が、現地ではとても問題になっているのだそうです。
そこがよくわからなかったので町長に質問しました。
放置された木材の何が問題なのでしょう?





これら放置された倒木が、土石流のような土砂災害の温床となってしまうのが、なにより大問題だとの笠松町長のお答えでした。

倒木が土石流を起こす…?
レジャー以外山に縁がない私たちの多くが初めて聞く話でした。





放置された木材は、やがて台風や集中豪雨で大量に谷川に流入することとなり、土石流を引き起こす原因となるとのことです。

川の土砂がいわばダムのようにいったんせき止められ、いっぱいになってから決壊するのをイメージするとわかりやすいと思います。
つまり、放置された木材は土砂災害を引き起こしかねない危険物なのです。

実際、自然現象だと一般に思われている土砂災害の多くが、このような原因によって引き起こされていることを御存知でしょうか?

たとえば徳島県では上記のような土石流、山林と土壌の劣化による山崩れ、山の保水力低下による河川の氾濫や水害が、近年とみに多発しているそうです。

「治山治水」という言葉がありますが、その意味がはじめて実感されます。

山林の木々を適宜伐採するという、かつて林業に従事した人々が当たり前のこととして行ってきた営みが、山を保全し水源を維持し、そして自然災害を防止するために、とても重要で不可欠な意味を持っていたことがわかります。

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