運営委員長の岡野です。
昨日は、久しぶりの学習会、なかなかの盛会でした。参加者のみなさん、お疲れさまでした。
テーマは、「持続可能な国づくりの条件~4象限で読み解くスウェーデン・ブータンモデル~」。
アメリカの思想家ケン・ウィルバーの存在の4象限のアイデアを適用して、なぜ、スウェーデン、ブータンでは、持続可能な社会が着実に実現の方向に向かいつつあるのかを論じました。
詳しくは、間もなく編集してお頒けできるようになる予定の講義のDVDを見ていただきたいと思いますが、要点だけお伝えしておきたいと思います。
ブータンでは、持続可能な社会の実現のための4象限にわたる条件がかなり満たされていると推測されますが、その概要は以下のとおりです。
まず、左上:個の内面についていえば、仏教精神と近代を統合できるリーダー群(国王他)の存在があります。
次に、左下:集団の内面については、 国教である大乗仏教の精神が国民全体に共有されていることがあげられるでしょう。
そしてもちろん、右下:集団の外面では、 ブータンには伝統的農村共同体がしっかり残っています。
そこで、右上:個の外面のオルタナティブな技術によるゆるやかな近代化が比較的スムースに行なわれるのだと思われます。
さらに私たちの会ではここ5年ほどかけてずっと学んできたスウェーデンについても要点を述べましたが、以下のとおりです。
左上:個の内面については、スウェーデン福祉国家を創りあげてきた社会民主労働党の歴代の党首たち、ブランティング、ハンソン、エランデル、パルメなど、自然と人間社会の調和への欲求と構想力を持ち、社会全体の中長期の利益を構想できるリーダー群と市民の存在があります。
加えて、左下:集団の内面では、ヴァイキング以来自然への畏怖と愛の思いを持った国民性、プロテスタント・キリスト教の愛の精神をベースにそれが世俗化された社会民主主義ヒューマニズムの連帯の精神があげられるでしょう。
だからこそ、右下:集団の外面としてのエコロジカルに持続可能な社会=緑の福祉国家を構想し本気で実現に向かうことができているのだと考えられます。
そしてもちろん、スウェーデンにはきわめて先進的な環境技術があることは言うまでもありません。
それぞれに4象限すべてにわたる条件が満たされているために、国全体が持続可能性に接近できつつあるのではないか、と私は推測しています。
こうしたブータンやスウェーデンの4象限にわたるあり方は、日本での持続可能な国づくりを考える上で大きなヒントになる、と私は考えており、参加者に、「みなさんはどう思われますか」と問いかけをしました。
感触としては、全体としてとてもよく理解―合意していただけたのではないか、と感じています。
(蛇足ですが、もちろん私はブータンやスウェーデンを絶対視・理想化しているわけではなく、それぞれが克服すべき大きな問題も抱えていることは承知しています。それにしても、日本の現状よりははるかに持続可能な国に接近していると評価しているのです。)
当日参加されたみなさん、持続の会員のみなさん、読者のみなさん、よろしければコメントをお寄せください。
※写真は、会場の皆さんの許可を得た上で、事務局が岡野運営委員長の記事に入れ込みました。