フェルメールの魅力

フェルメールの魅力は謎にある

たとえばレンブラントは上手だが、
何をしたかったがわかりやすい

人の内面を光と影をつかって描く、
それでとりえあずわかった気になれる

しかし、フェルメールの絵ときたら、
いったい何を思って絵を描いていたのかが
よくわからない

必ずしも美人ではないモデル
特に選ばれたとも思えないテーマ
ワンパターンの窓辺の構図
何度も書きかえられ、
最後には塗りつぶされる背景や小道具

でも、だからこそ人を惹きつけて、
いろいろ論じたくなるのだろう

それは基本的には、フェルメールの
絵に対するある種のまじめさに由来するのではないか？

商業的な画家がほとんどだった時代にあって、
ある種アマチュア的に「絵を描くとは？」というような
疑問から離れずに絵を描いていた、というような
そんな気がする。

つまり、フェルメールの絵には、
そうした迷える彼の姿が、
目立つ技巧や確立されたスタイルなどに隠されずに
そのままナイーブに表れている面がある

そしてそれが、あの独特な雰囲気、
なんともいえない画面を作り出しているのでは
ないだろうか？