「城の日」の6日、日本城郭協会(東京)が発表した「続日本100名城」に、大和郡山市の郡山城が選ばれた。「大和郡山お城まつり」が9日まで開かれており、市観光協会の山内英之事務局長(52)は「いいタイミングでうれしい」と喜んだ。

 郡山城は県内屈指の規模の城郭。豊臣秀吉の弟、秀長らが1585年から本格的に築城し、江戸時代には大和国の中心として栄えた。天守は失われたが、天守台は2013年から4年かけて修復された。先月から展望施設として公開されている。

 日本城郭協会は06年に「日本100名城」を発表。これに収まりきれなかった城として、優れた文化財・史跡、時代・地域の代表などの基準で、今回新たに100カ所を選んだ。

 ログイン前の続き協会によると、郡山城は「大和などに百万石の領土を持った秀長の拠点だった」という点が評価された。「城守」として城の整備などを担当する市職員の仲敬可(のりよし)さん(62)は「郡山のシンボルとして全国にアピールしたい」と話した。

 日本100名城には、県内では「日本三大山城」の一つとされる高取城(高取町)が選ばれた。協会のホームページ(http://jokaku.jp/別ウインドウで開きます)で紹介されている。

■幻の天守 アプリで出現

 スマートフォンタブレット端末を郡山城の天守台にかざすと、画面に「幻の天守」が立ちあがってくる――。そんな機能を盛り込んだアプリを、大和郡山市が開発した。

 アプリは観光客向けの情報サービス「ココシル大和郡山 城下町」。コンピューターグラフィックス(CG)で豊臣秀長時代の郡山城を再現した。以前は実在したか分からず「幻の天守」といわれたが、2014年の発掘調査で存在が確認された。

 江戸時代の絵図を参考に再現した鉄門(くろがねもん)や極楽橋などの建物も、城内を歩くと画面に映し出される。端末を動かすと、画面の建物の向きも変わり、天守台から見下ろせば、当時の城の様子が再現される。

 ココシルは、ほかにカフェなどの飲食店や金魚が見られる場所といった情報を提供する。観光施設をめぐって金魚の絵を集めるスタンプラリーもできる。(筒井次郎)

■宇陀松山城も選定

 続日本100名城には、宇陀市の宇陀松山城も選ばれた。標高473メートルの山頂に築かれた山城だ。

 豊臣家の家臣らが本格的に築き、1615年に取り壊された。江戸初期の城郭構造を良好に残し、国史跡に指定されている。

 宇陀市教委の担当者は「山頂からの眺望は素晴らしいので、多くの方々に来てほしい」と話した。