麻布六本木学研究会

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宮部みゆき『震える岩―霊験お初捕物控』

2010-10-11 14:03:46 | Weblog
回の麻布六本木学研究会の街歩きは南町奉行根岸鎮衛「耳袋」に取り上げられた場所を観に行くという「ミステリーナイトウオーク」です。


「耳袋」と聞いて、ワクワクする人はかなりな通で、普通は何の事やらと言うことになってしまうと思います。
で、「耳袋」を下敷きにして書かれたお話はないかと調べたら、出てきましたよ!宮部みゆき!!!
「霊験お初捕物控」が正にそれでした♪

お初という年頃の娘は、以前から霊能力があったのですが、育ての兄(大火事で両親を失って)の岡っ引きの手伝いをしていたところ、南町奉行根岸様が彼女に興味をもって、右京之介という若者をつけ、事件解明に当たらせます。
その元ネタが「耳袋」ということで、これを読むと、(お初の捕り物控えはフィクションですが、)時代の様子が感じられ凄く面白いです。
いわば、「耳袋入門書」です。
おおよそ奉行所の役人らしからぬ気弱な右京之介のその後の成長も面白く、個人的には算額の世界も知り得て面白かったです。
「震える岩」は、忠臣蔵外伝というか、当時の庶民目線で言えば赤穂浪士の討ち入りもこういう解釈もあるのだと言うことを知らされます。読んでいてどういう訳か、大阪地検の前野被告のことを思ってしまいました。つまり、「事件として成り立ってもらわないと困る」というお上の意向です。
実は、「耳袋」のミステリーツアーの反響が今一歩だったのですが、宮部みゆき目線行けば、結構面白いかもと思い直した次第です♪

ついでに「天狗風」も読みましたが、こちらはどちらかというと、宮部の創作が勝ってしまって、「耳袋」は脇に追いやられた感じがします。(作品としてはそれもいいのでしょうが、今回は「耳袋」ネタで行きたいので。。。)